2 プリキュアとして承認を受ける

この復活についてはもうひとつ重大な転換が描かれている。それはなぎさとほのかがプリキュアであること、プリキュアとして試練に耐えてきたことが世界に承認されたということだ。なぎさの回想およびほのかの回想において、彼女たちの家族はプリキュアとしてのなぎさ、プリキュアとしてのほのかに向かって彼女たちを慰めたのだった。
世界を救えなかった(この時点では)プリキュアとしての自分たちを家族が認めた。これまで自分たちがプリキュアであることは、誰にも知られていなかった。彼女たちは虹の園を守るために戦っていたのだけれど、それは誰にも知られていなかった。もちろん日常の生活を通じて「美墨なぎさ雪城ほのか」と虹の園とは分かちがたく結びついていた。しかしキュアブラックキュアホワイトは、虹の園とは直接絆を結ぶことは無かった。
僕には彼女たちがプリキュアの姿のままで(過去の思い出とは言え)家族に対面し、プリキュアの姿のままで家族であると認められたということがとても大切な儀式であったように思える。なぎさとほのかはプリキュアになったことで、二つの人生を生きることになった。日常ではなぎさとほのか、非日常ではブラックとホワイトである。ドツクゾーンが全てを闇に飲み込まない限り日常と非日常は交わらないので、日常と非日常は交わらない(交わった時点で全てが混沌になってしまうため)。
これまでは、やや勝手に世界を救っていた感があったと僕は思う。また自分の半分を誰にもわかってもらえないという寂しさがあったと思う。しかしプリキュアの姿のままで家族に受け入れられたことで、彼女たちはプリキュアとしての人生においても世界と絆を結んだのだった。