幕間:影山氏脚本

まあそんなわけで、MH第10話にてそれまで行われていた(無印から受け継いできた)「複数サブストーリーの多面同時展開型」作劇手法から大転換を行うため、川崎良氏が自ら脚本を手がけて道筋をつけた「単一キーワード全面展開型」の作劇手法は、今回第12話でも本質的には保たれているのだった。
しかし無印時代から、影山由美氏脚本回は特殊だという感じはおそらく多くのコアなプリキュア視聴者が抱いていると思われる。今回も

  1. キーワードは出て来ない
  2. 日常の街を離れ、高原ロケに出かける
  3. ハーティエル無視。無かったことになっている
  4. 影山氏が担当した無印第17話の小田島友華初登場回と同じように、なぎさとほのかが手を重ねていて、いわゆる萌えポイントとなっている。影山氏がこれを萌えポイントと考えているかはわからないが、日常シーンでなぎさとほのかが手を合わせるシーンはほとんど描写されていないわけで、日常での親密さを特に強調している。
  5. これは第13話を見てからの後知恵になるのだけれど、九条ひかりが「何かできることはないのか」と自問自答するシーンがない。第11話まではこの言葉が九条ひかりパートの中核を形成しており、なおかつ第13話でも九条ひかりは「何かできないか」とつぶやいている。第12話は九条ひかりが何かできるという話だったのだが、なぜか第13話になると九条ひかりは第12話が無かったかのように「何かできないか」という状態に戻ってしまっている。
  6. 魔人たちの会話が無い。そもそもサーキュラスウラガノスが出てこない。執事ザケンナーたちも出てこない。

というあたりが、MH第10話以降のシリーズ構成/演出手法から見てみれば特殊だという感じがする。ただし5番はシリーズ構成レベルの問題であるような気がする。九条ひかりの行動だけを考えると、作業段階では第12話と第13話の順序が逆だったのではないかと思わせる。ただし内容を考えると第13話が美墨家の家族話なので、第12話に持ってくるとそれまで焦点をあてていた九条ひかりの成長物語が中断してしまう。まあ妄想でしかないのだけれど、そういうあたりで第12話と第13話の順序を入れ替えたのではないか。とにかく5番については、影山氏がどうだということではないのかもしれない。それでも影山氏の回がそういうめぐり合わせになってしまうというのがなんというか、プリキュア脚本チームにおける影山氏的なのかなと。

これを書き上げてお風呂に入りながらいろいろ考えてみると、やはり九条ひかりの態度以外にもMHの第12話と第13話は放映までに順番が入れ替わっているように思えてきました。id:dokoiko:20050501の論考としてその辺を書いてみました。もちろん妄想ですので、大はずれかもしれません。
もしそうであるならば、ハーティエル無視や魔人が少ない件なども影山さんの特殊性とは関係なくなるので、影山さんに謝らないといけないデス〜。