1 It's coming...

MH第12話はこれまでの流れと比べると表面的には異なる作劇手法を採っていた。第10話の川崎氏脚本以来、マックスハートはひとつのキーワードをひとつの回に何度も繰り返し提出することで、物語の軸をしっかりと意識する(おそらく製作者、視聴者どちらにも)ようになっていた。今回はキーワードは登場しない。さすが影山由美氏の面目躍如というところか。
ただし物語の軸を絞っているという本質的な点に変更はなかった。あえてキーワードとして取り出せば「やってくる」になるだろう。というのは

  1. 洋館の少年が散らかしたおもちゃのパトカーがサイレンを鳴らしている。サイレンを鳴らしているパトカーは、現場にやってくる。
  2. ということで、赤い目をした四人目が(目だけ)登場する。
  3. あかねさんに連れられて、なぎさほのかひかりはナデシコ牧場にやってくる。
  4. もうひとつの軸となっていた小ヤギの名前が「ベル」ちゃんだった。ベルが鳴れば誰かがやって来るということだ。
  5. タコカフェには最初お客さんがやってこない。しかしベルちゃんがひかりを追ってタコカフェにやってくる。
  6. するとひかりに高原のたこ焼きセットのアイデアがやってくる。そしてタコカフェにはお客さんがやってくる。
  7. 牧場の異変を感じて、ベルちゃんが鳴く。すると第四の魔人バルデスがやってくる。バルデスが訪問のベルを鳴らしているのだ。
  8. 森へ駆け出したベルちゃんを追ってひかりは吸い寄せられるようにバルデスの元へやってくる。
  9. ラストでは、再びナデシコ高原に平和がやってくる。タコカフェにもお客さんが山のようにやってくる。

ということで、第四の魔人バルデス(しかしなぜバルデス世界遺産バルデス半島?)登場が今回の必須イベントとなっていたのだけれど、そこから「登場=やってくる」というキーワードを抽出し、今回MH第12話を纏め上げている。