2 家族話の意味

今回第38話は久々に家族のお話だった。プリキュアの中で家族のお話が出てくると、最終的にはなぎさとほのかは家族を精神的な支えとして、家族に助けられているというシーンが描写される。それは小さな視聴者たちに「自分たちだけを絶対視しない」というメッセージを伝えている。
第6話のクマちゃん話では、母親である理恵さんがいつもなぎさのことを考えているとなぎさに直接話し掛けた。シーンとしてはこれだけだった。しかしなぎさがそれを納得する描写があり、その後母クマと子グマとの話が中心となったために、理恵さんの言葉がずっと後を引くような構成になっていた。
第8話では、お互い引くに引けなくなっていたなぎさとほのかをそれぞれの保護者たちが見守ることで、ふたりは出口を開ける力を振り絞ることができた。
第10話では少し異なる大人像が描かれていた。なぎさの場合、お小遣いを前借しようとしたのだが理恵さんはすげなくそれを却下した。大人は必ずしも子供の意のままになるわけではなく、大人なりの基準で子供を従わせるというあたりまえの事実を描写した。ほのかの場合、子供の意見を聞かず一方的に愛情を押し付けるという意味でやっぱり子供の意のままにはならないというこれまたあたりまえの事実を描写した。またほのかの両親が縛り上げられてしまったことは、親といえども万能ではないということを描写している。
第6話と第8話は親の思いの大きさを描いていたのだが、第10話では親の限界を描いていた。最初に子供たちが気が付かないような親の気持ちを描いておいて、しかしそんな親たちは子供の従者ではないのだということを描いている。なかなかよいバランスで親子関係を描いている。
ここで一旦、「ふたりはプリキュア」で家族話が出てきた放映回を列挙し、あと脚本の人と演出の人が誰だったのかも書いてみよう。


話数 脚本 演出
第6話:お母さん心配よ 川崎良 小村敏明
第8話:そっと一言 清水東 五十嵐卓哉
第9話:独り言疑惑 羽原大介 山吉康夫
第10話:ほのか誕生日 成田良美 岩井隆央
第11話:亮太巻き添え 清水東 川田武
第12話:おばあちゃん投げ 川崎良 矢部秋則
第15話:美墨家旅行 清水東 上田芳裕
第28話:さなえ少女期 羽原大介 西尾大介
第38話:亮太おつかい 清水東 矢部秋則

こう見てみると、家族話の半分は清水東さんが担当している。清水さん以外の家族話では、家族が全面的に表に出ている話はない。だから掘り下げた家族の話は清水さんがすべて担当しているわけだ。
どうやら清水さんは人間関係を描く担当らしい。第8話の脚本が清水さん担当というのをはじめて認識したのだが、その他にもゲキドラーゴ最終回、美墨家温泉旅行、そして今回亮太おつかいを担当しているのだ。