2 歯を磨く悪役たち

悪役が歯を磨くというのはびっくりしたザケンナー。しかも当然の如く磨くのはなんというか、敵もちゃんと生きてるんだなあと思わせる。ベルゼイはさも当然のたしなみの如く日常として歯を磨いている。あれがベルゼイの引け目と開き直りを描写しているのは明らかなのだが、黙るために歯を磨くのはすごく気合の入った描写だ。これと似たシーンがマフィア映画のどれかにあるのかなあ。背の高さは違うが後ろ髪といい、にやけないトラボルタを下敷きにしているのかなあ(でもにやけないトラボルタと言うのはありえないのだが…)。
ベルゼイは計算していた。自らは部隊長としての責任がある。執事ザケンナーの失敗はベルゼイの失敗なのだ。潔癖さを発揮してジャアクキング様への報告を求めるジュネに対して、上司として自分の威厳を保ちつつジャアクキング様からの保身を考えている。その結果としての歯磨きなのだった。
ベルゼイの計算たっぷりの歯磨きとは対照的に、レギーネは単に歯を磨きたいから磨くことにした。

これからは毎食後歯を磨こう

って、食べてるんかい。毎食。何を食べてるんだ。しかもジュナがベルゼイを詰問し、ベルゼイがジュネを引き込もうとして静かな緊張感が支配する場を全く読もうともしない。相変わらず変身前のレギーネ嬢はわからない。
ふたりとは異なり、ジュネは歯を磨かない。プリキュアを倒すことだけを考えている生真面目な性格なのだ。ジュネになってしまう前の社員角沢君もレポートの早い生真面目な性格だったので、そのあたりを受け継いでいるのかもしれない。
歯を磨くという作為に意味をもたせた結果、歯を磨かないという無作為にも意味を付与することになった。歯を磨かないジュネはそれだけ残りのふたりよりも打倒プリキュアを常に考えているということだ。彼にはベルゼイのような中間管理職の難しさはない。執事ザケンナーの失敗は自分の失敗ではなく、ただひたすら打倒プリキュアを目指せばよい。それをしないベルゼイレギーネに苛立っている。
執事ザケンナーをめぐり、分身三人の立場がだんだんと明らかになってきた。次回はレギーネが戦闘に出てくるようなので、このからみでは進展がないのかな。というか進展するのかな。