絶望と希望の位相 Ver1.1

id:dokoiko:20040818の改稿版です。完了。

さて第28話のメインテーマだった絶望と希望だ。物語の中でそれが何を意味しているのかについては、どこかで誰かが考察しているだろう。だってもう水曜日だし。ということでここでは第28話の構造を取り出してみよう。なぎさとほのかはさなえおばあちゃんの経験を丸ごと追体験している。まあまだなぎさとほのかの戦いは道半ばではあるものの、ラストシーンにてさなえおばあちゃんがたどった絶望と希望の結果がなぎさとほのかの道のりの結論を暗示している。
さなえおばあちゃまの回想は単なる時事エピソード(8月15日だからね)ではなく、物語の一部として機能していた。「ふたりはプリキュア」に何度もあったようなセリフによる突然の説明ではなく、時間を含んでシナリオに生かされていた。それは30分の放映のみならず、あの坂の頂上で少女さなえとなぎさほのかとが60年の時間を経て重なり合った。
しかし坂の頂上へたどり着く場面はさなえおばあちゃまとなぎさほのかの対照を少しずらしている。具体的には、なぎさが坂の頂上で味わった絶望がより大きく劇的に映るように構成されている。情景の繰り返しで物語を安定させ、位相を一部ずらすことで意識的に盛り上がりを作り出した。