三流の推理小説

イルクーボには石の番人ウィズダムを捕獲するために力が必要だった。だから山を破滅させる必要があったし、プリキュア戦で手を抜く必要があった。さらにはプリキュアマーブルスクリューを吸収するだけの自信もあった。それはそれで話に説明がつく。とは言えイルクーボウィズダムを捕まえるまでそれらの理由は全く説明されず、視聴者はただ???という感覚を抱いたままイルクーボの不敵な笑みの結果を待つしかなかった。
これが推理小説ならば三流の展開としか言えない。三流の展開というのは、散々話を引っ張っておいて、最後の章で跡付けの理屈が飛び出しまくってなぜか事件が解決してしまうということだ。三流と言うか古いタイプの推理小説というべきか。ホームズや明智小五郎の話を読んでいると僕はそういう跡付け感がぬぐえず、推理小説としてはいまいちだなあと思う(しかしヒーロー箪としてのホームズや明智小五郎の物語は面白い。モリアーティや二十面相との対決はやっぱり面白い)。
例えばイルクーボジャアクキング会談の段階でウィズダム捕獲計画を説明していたり、画面に登場した時ごとに少しずつ彼の行動が持つ意味を説明していればどうだろう。視聴者は「変身しちゃダメ! でも変身しないとやられちゃう!」「プリキュアマーブルスクリューを打っちゃダメ! でもプリキュアにはそれしかないよ〜」「どうなっちゃうんだろう! イルクーボの思い通りに進んでしまうのかな? やっぱりイルクーボって伊達にナンバー2じゃないよ!」とかいうスリルを味わうことができたかもしれない。
今回のようにイルクーボの行動の意味が明らかにならない場合、視聴者はただ次の展開を待つしかない。