3 闇の中で

満薫は閉じている。他者に対して閉じている。他者の視線が彼女たちの自我を規定している。それゆえ他者がいなければ彼女たちの自我は安定しない。だからこそ彼女たちは他者のいない闇に立つと、彼女たちの存在について考え出す。
構図としてはキリヤの場合と似ている。しかし満薫の疑問はキリヤの悩みより根源的である。キリヤの場合は生きるべきか死ぬべきかという選択であった。しかし満薫の疑問は「我々は何のために存在しているのか」「我々は何であるか」であると思われる。また分身たちにも似ているが、分身たちにとってすでに答えは出ていた。分身たちはジャアクキング様を乗り越えて生きようとしていた。