4Kidsがプリキュアを配給することについてどう思いますか。

原文はこれ。

ジョンに聞け

4Kidsがプリキュアを配給することについてどう思いますか。
2006年2月28日

質問:

Anime News Networkは近頃4KidsがプリキュアをTV放映使用としているとのニュースを公表しました。あなたはプリキュアファンです。あなたのプリキュア関連コラムがきっかけになり、私はプリキュアがもうすぐ放映されることにとても期待するようになってしまいました。ただしこんな形ではなかったら…… 吹き替えキャスト選定や編集でのお粗末な仕事振り、ビデオ販売をしなかったりしても再編集された英語版のみだったり、その他もろもろのやり方によって、4Kidsはこれまでに悪評を築き上げてきました。実際のところ、われわれには今後(英語版プリキュアに)何が起こるか大体分かっているのでお聞きするのもアレなのですが、もしご面倒でなければ回答いただければ幸いです。

回答:

正直に言うと4Kidsがプリキュアを獲得したことについて、私は込み入った思いを抱いています。直接的には、4Kidsによる購入は私にとってあまり影響がありません。私は英語吹き替えのアニメは見ないですし、アメリカのDVDでプリキュアを買いたいと熱望してもいないからです。だから4Kidsがプリキュアを獲得したからと言って、そもそも私には失うべき期待や願望がありません。またもともと4Kidsがアメリカのアニメファン界のことをだいたいにおいて考慮していないことも、私は知っています。4Kidsは言ってしまえばアニメ配給会社であり、ディズニーがアニメ配給会社であるのと同じことです。4Kidsはアニメ配信も行う、メジャーなエンターテイメント企業なのです。4Kidsはアニメ翻訳会社ではありません。だから4Kidsがプリキュアを大幅に再編集したり、オリジナルの日本語バージョンをビデオ発売しないことになったとしても、私は驚きもしなければ失望もしません。ハードコアなアニメファンたちは4Kidsにさして関心を持つことはこれまでありませんでしたから、プリキュアについてはこれまでの方針を変えることがないでしょう。プリキュアはまず間違いなくアメリカの典型的な子供たちをターゲットにして再編集されるでしょうし、作中に出てくる日本的な要素もまた間違いなくカットされるでしょう。実際に、キュアブラックキュアホワイトというコスチュームの色から取られている名前についてさえ、人種差別という批判が上がる可能性をあらかじめ抑えておくために変更されるかもしれません。
その一方で、自分たちが配信するアニメ番組が表現している芸術や文化としての個別性に対して一顧だにしなかった会社が、アメリカ人視聴者のためにプリキュアを露骨に再編集するだろうということに、私は失望し悲しみを覚えます。しかしどんなかたちであろうと、何も話題に上らないことに比べればはるかにましなことだというのも事実でしょう。プリキュアを配給して電波に乗せるというただそれだけのことでも、4Kidsによって「ふたりはプリキュア」日本語版オリジナルに対する興味を起こすきっかけになるかもしれないし、新たなアニメファンを開拓する触媒となるかもしれません。4Kidsによるプリキュア獲得の事実によって、すでにアメリカのアニメファンたちがプリキュアについて語りはじめることになっています。これはアメリカのプリキュアファンがこれまでずっと、実現しようとしてもできなかったことです。またアメリカでセーラームーンがTV放映されたことによって、アメリカにおけるアニメファンが大幅に増加することになったということもありました。それによって、ほとんどのセーラームーンシリーズが無編集、差し替えなしのアメリカ版DVDとして発売される結果となりました。
だから私はどっちつかずの気持ちです。ある意味において私はプリキュアがようやく多くの人々にお披露目されることを喜んでいます。しかし同時に、かなり編集と差し替えが入ったあとのものしかアメリカの人々に提供されないだろうということにがっかりしています。さらに東京ミュウミュウの配給を前例とするならば、アメリカでは日本版の全49話で放映されないものもあるでしょう。しかし私が期待はあまり高いものではないのだけれど、全米デビューでプリキュアがどう編集され差し替えられるのかはまだ誰にも分からないので、4Kidsによる入手が破滅的なものだと言い切ることが私にはまだできないのです。