最近の優秀な魔法少女アニメはどれですか。

ジョンに聞け

原文はこれ。
最近の優秀な魔法少女アニメはどれですか。
2005年3月4日

質問:

あなたの中で最近の優秀な魔法少女アニメはどれでしょうか(大体2002年ぐらいまでで)。あなたがプリキュアを評価していることは知っていますが、その他の魔法少女モノではどうでしょう。

答え:

どの魔法少女アニメが優秀だったかを議論する前に、まず取り上げるべきアニメ番組を仕分けておかなければならないでしょう。少なくとも英語圏のアニメオタクにとって「mahou shoujo」や「magical girl」アニメとは、魔法を使う女の子たちのアニメではなく、魔法で力を与えられる少女が出てくるアニメと思われています。魔法少女アニメの主人公たちは、特別な力を持つヒロインへと変身したり、普段とは違う何かに変身したりするために魔法を使うのです。魔法を使うけれど変身しない少女が出てくるアニメは通常「魔法少女」アニメとはみなされません。というわけで、この数年のうちで注目すべき「魔法少女」アニメはこんな感じ。

おジャ魔女どれみ どっかーん
おジャ魔女どれみ ナイショ
東京ミュウミュウ
満月を探して
陸上防衛隊まおちゃん
ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて
プリンセスチュチュ
マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ
マーメイドメロディー ぴちぴちピッチピュア
天罰エンジェルラビィ
ふたりはプリキュア
魔法少女リリカルなのは
まじかる カナン
燃えよ剣

上記の選抜基準に基づき、私は「Ultra Maniac」「魔法遣いに大切なこと」「風人物語」「ぽぽたん」「らいむいろ 戦奇襌」「魔法少女隊アルス」を除外しようと思う。これらは魔法を使う女の子たちを登場させているけれど、「魔法少女」アニメにお約束の登場人物ではないのです。

私が魔法少女アニメ大好きというわけではないのをここで認めておかなければならない。私が挙げた14タイトルのうち、まったく見ていないものが1つだけあるのだが、だいたい半分ぐらいは見ている。だから私の批評は個人的な経験と発表されている資料に基づくことになるだろう。

プリキュアについての賛辞はすでに以前発表している。だからもう一度それをやる気はない。私はまたおジャ魔女どれみ大好きである。とりわけアメリカではこの番組が知られておらず、しばしば関連商品についてのどうしようもない宣伝で知られている。しかし私が思うに、どれみについてアメリカ人が持っている認識はだいたい、間違った認識および文学面の無視に基づいている。考えてみれば、おジャ魔女どれみのシリーズが5作も続くにはそれなりの理由があるはずだ。おジャ魔女どれみにはそれぞれに個性をもった心温まる人々が登場する。どれみと彼女の友達たちは、印象的でかわいくて個性的な容姿と性格を持っている。おジャ魔女どれみはアニメとしての観点からも、色とりどりでよくできた背景とデザインによって楽しげだ。さらにおジャ魔女どれみは説教くさいというわけではない知的さを備えており、アメリカ人アニメファンが思うよりも芸術面を意識している。おジャ魔女どれみでは時に、あえてハッピーエンディングで終わらせない。なぜなら現実の人生が常に幸せであるとは限らないからだ。そしてアメリカ人アニメファンが気づくより多く、おジャ魔女どれみには日本の伝統的な文化や社会や民俗を扱っている。

おそらくプリンセスチュチュはこれまでになく革新的で異端の魔法少女アニメだろう。それはこの番組がきらびやかで豪華な映像であるということだけではなく、純粋なドイツ童話が持つ病的で恐ろしげな雰囲気を使うことで非常に効果をあげているということだ。この番組はおそらく子供向けのように見えるし、実際子供向けだ。しかし驚くほど憂鬱で、怪しげで、困難を予感させる番組であり、子供よりも大人に向けられている。バレエと小さくてかわいい登場人物たち、それにロマンスというのは、多くの英語圏アニメ視聴者にとってこの番組を見てみようとは思わせないものかもしれない。しかし異端や例外的なアニメについて思い込みを持たないアニメファンたちには、この番組に驚き、高い評価を下すだろう。

私にとってよくわからないのは、セーラームーンがいまだに根強い人気を持つにかかわらず、とくにアメリカの若い女性ファンがマーメイドメロディーぴちぴちピッチを評価しないということだ。私の限られた知識から見ると、ぴちぴちピッチは現在におけるセーラームーンであるように思える。作画レベルはよりよくなっているし。セーラームーンと同じように、ぴちぴちピッチはロマンスあり、悪の手下との戦いあり、そしてかわいい少女が大量に出てくる。日本ではこの番組が大成功したが、アメリカのアニメファンたちは一向に関心がないようだ。ぴちぴちピッチセーラームーンからの自然なステップであるように思えるのだが、しかしアメリカにおける多くのセーラームーンファンたちはいまだになつかしき月野ウサギを慕っており、その後の魔法少女アニメには向かわないようだ。

最後に、満月を探しては英語圏のアニメファンたちの中で、ごく少数ではあるが熱狂的なファンを獲得しているようだ。満月を探しての英語圏ファンは決して多くないが、しかしこの数少ないファンたちはこの番組をとても高く評価している。満月を探してはマジカルエミやアイドル伝説えり子、くせになりそうやファンシーララの直系と言うべき番組だ。しかしこれらの先行番組とは異なりシリアスさをいくつか加えることで、満月を探しては典型的な魔法少女アイドル歌手アニメとは一味違った番組となっている。この番組を通じての悲劇性は、先行番組に比べてよりリアルであり、かつ情緒的な仕上がりとなっている。

私が挙げたリストから外れた番組が悪いとか注目する価値がない、というつもりは毛頭ない。実際のところ、視聴者が楽しく見ているすべてのアニメには、何らかの意味で必ず見るべきものがあるはずだ。しかし上に挙げた番組の中で、プリキュアおジャ魔女どれみプリンセスチュチュぴちぴちピッチ、そして満月を探しては「魔法少女アニメ」であるべきすべての要素をよく消化している番組だと私は思う。