1 相互担保する外部関係と内部関係

今回S☆S第2話では、日常という得体の知れない抽象を「歓迎会」というとても具体的な出来事に集約した。これは二つの効果を持つことになる。
ひとつは咲がプリキュアとして戦うと決意するシーンが、我々視聴者にとても響くものになったということだ。しかし先代でもいろいろと日々の生活を邪魔されたはずなのに、なぜ僕には今回のこのシーンが深く響いてくるのだろう。それはおそらく二つ目の効果に伴う副作用である。
ふたつめは先代が二年かけて達した境地にたどり着いてしまったことだ。無印第8話と同じ「ともだちになる」という全く別のしかし重要な出来事が同時に発生していることで、このシーンが二人の内的関係にも大切な瞬間になっている。もちろん早く到達すればよいというわけではなく、2話分で到達するためには多くの重要な枝葉を取り落とした。先代の到達点とは2年間ずっと戦う理由を(なぎほのではなく製作者達が)探しつづけた過程それ自体であるからだ。
S☆S第2話では咲舞にとって、カレハーンに対して戦うという外的関係の形成と、咲舞がともだちになるという内的関係の形成が同時に立ち上がった。さらにこの二つの関係は、それぞれがおたがいの理由であり結果でもあるという不可分の物として描かれている。すなわち、

  1. 咲は大切な舞の歓迎会を邪魔されたから、舞は大切な咲が酷い目に合わされたから、カレハーンと戦う
  2. カレハーンと戦うから、咲と舞とはおたがいがおたがいを大切に思っていることを知った

というような円環構造をなしている。これは先代の無印第8話がゲキドラーゴを邪魔者として、日常にこだわり抜いて友達となったこととは対照的である。
(更新中)