5 光と闇との対立を止揚させる可能性を示した話数

しかし光が消えることは許されない。誰かを生かすために誰かが犠牲になるのことは許されない。光は消えない。そして闇もまた。闇と戦う限り。だから今回のMH第39話が重要なのだ。戦いに勝ち対立を終わらせるのではなく、戦わなければならないという枠組みそのものを変容させ、戦いそのものを解消したからだ。
ふたりはプリキュア」での枠組みとは、光と闇とが争わなければならず、どちらかが残りどちらかが滅びなければならないということだ。そして戦いという枠組みは、ラクロスの試合でも同じだった。無印第7話からMH第31話まで描かれてきたラクロス6試合は、すべて勝つことが結末だった。試合には勝たなければならない。敵は破るべき相手である。これが「ふたりはプリキュア」のラクロス描写における枠組みだった。
しかし今回MH第39話では、この基本的な枠組みが変質した。これまではラクロスの試合に勝つことを通じて、ベローネ学園女子ラクロス部の内部で団結が深まるという経験を描いていた。しかし今回は、試合で自分の力を十分出せたのならば敵味方を問わず団結できるという経験を、試合参加者すべてが体験することになった。これまでは味方だけが視野に収められていたのだが、今回はそれが対戦相手にまで広がった。これまで「ベローネ女子ラクロス部」に収まっていた枠組みが「ラクロスに打ち込むすべての人々」へと拡張されたわけだ。
光と闇との戦いが終結するには、ラクロスで行われたのと同じく枠組みが拡張されなければならない。光の力をめぐって争う二つの勢力、という枠組みを拡張しなければならない。そのためのカギは今のところ二つある。

カギその一。遊星からの細菌なぎさの影響力

そりゃまあ事実上の単独主人公です。なぎさ主役回はもちろんなぎさの力でお話が解決してきた。さらにほのか主役回でも最後はなぎさの力で解決することが多い。ほのかは閾値を超えると固まってしまうからだ。ということでこれまでもずっとなぎさの力は特別だったわけだ。そして今回のラクロス話でなぎさは、敵にまで影響を与えて敵ではなくしてしまう存在にまでなってしまった。

カギその二。あのお方の無垢

これまで出てきた闇の人々の中で唯一、負の感情と力の誘惑に魅入られていない存在がこともあろうにあのお方だ。あのお方はやはりあのお方にいちばん近い存在だろう。ということは、あのお方が「クイーン及びプリキュアたちと対決する」というこれまでの枠組みを超えてしまえば、その他闇の人々はあのお方に従うことになる。今のところ光と闇との行く末は(ジャアクキング様が復活していないうちは)あのお方がどうなるかにかかっている。

ということで

上記ふたつカギがそろうと、光と闇との戦いが本当に終わる(というか光と闇とが戦うという枠組みが変容する)ための扉が開く。これまで描かれてきたお話を考えると、この二つは最も手近にあるカギだ。今回のMH第39話で、カギが二つになった。とりあえずこの二つのカギがあれば、光と闇との戦いを終わらせることはできるだろう。