4 存在と非存在(1)〜無に還る少年

ジャアクキング様が現実世界では誰に当たるか。彼は引きこもりである、とほぼプリでは見ている。彼は自分の居場所を動かず、誰とも接点を持たない。消費するだけであり、主に親が彼に消費すべきものを持ってくる。消費すべきものが届けられなくなれば、彼は滅びる。
彼は現実世界を憎んでいる。自分を除いて楽しげなエネルギーにあふれる光の世界を憎んでいる。しかし同時に彼は光の世界を欲している。物理的存続のため、そして精神的存続のため。彼は自分の存在様式を変えないまま、すなわち努力しないままで世界を望む。しかし世界は彼を受け入れない。だから彼は世界を滅ぼそうとする。
ドツクゾーンの支配者である闇のジャアクキング様とは、ニーチェが言う「地下的な復讐欲を抱いて生に敵対する退化する本能」である。生むものを否定することは、滅びを肯定する。それは自分自身にも跳ね返ってくる。全ての存在の根源が光の力及びそれを統べるクイーンである。クイーンと対を成すジャアクキング様は、別のかたちの存在ではなく、非存在を象徴しているものと思われる。
よってクイーンとジャアクキング様を受け継ぐ者たちである九条ひかりとあのお方も、存在と非存在を象徴していると思う。すべてを滅ぼし無に還すジャアクキング様の闇の力は、あのお方も消し去ってしまうだろう。
あのお方には目覚めの時が近づいている。胡蝶の夢の如く、あのお方とはジャアクキング様が見ている夢なのではないか。あのお方に近づいている目覚めとは、ジャアクキング様が目を覚まし、実は彼の夢であるあのお方が消滅すると。非存在の世界で力を溜めているジャアクキング様が、存在の世界へ戻ってくる闇の扉。それがあのお方ではないか。