4 なぎさを認め、自己実現する小田島

そのきっかけは、なぎさとの頂上決戦だったのだろう。最初はマドンナ的ではないと乗り気ではなかったが、なぎさと戦ううちにやがて髪を振り乱してラクロスに打ち込むようになる小田島。志穂莉奈が「いつもとイメージ違う」というほどののめり込みを見せているが、本人はそれを気にしていない。
これまで他者の前ではマドンナとして振舞いつづけてきた。しかしここで小田島は、マドンナとしてではない何かとして他者の前に存在していた。ていうか、小田島にとって他者は視野に入っていない。おそらくここで小田島は、これまで閉じ込めてきたものを解放したのだ。
そして疲労で倒れたなぎさが、実はラクロス部の練習プランをずっと考えていたということを小田島は知る。このとき小田島にとって、なぎさは単なる強敵ではなく、自分と同じように外面と内面を持っていたことを知る。これで小田島は知ったのだろう。自分となぎさが対照的な位置にいること、なぎさは自分の裏返しであるということを。
そして小田島は、自分がこれまで隠してきた「もうひとりの自分」を認める。寝ているなぎさの監視を引き受けて、小さな部屋でもうひとりの自分を認めるシーンになる。ここで小田島は、なぎさ=もうひとりの自分を認める。そして生命力を取り戻し、マドンナとしての自分も取り戻して合宿所を後にしたのだった。
ということで、なぎさは小田島にとって裏側の自分自身=シャドウなのだった。そこでここからは「なぎさ受容−なぎさ拒否」の軸を「シャドウ受容−シャドウ拒否」と読み替える。で、ペルソナ受容度とシャドウ受容度の二軸をとり、一般的にどの立場でどのような行動になるかというのを勝手にまとめる。こんな感じになるのではないかと思う。


ペルソナ−シャドウ図式

適当に線を引いていたら出来上がりは結構スッキリした6分割になっていた。で、三部作を通じて小田島の軌跡を追うと、

  1. 防衛:なぎさに対してつんけんした態度を取るも、
  2. 反抗:ポイズニーがかけた幻術によって、ペルソナ軸を調節している自我を失い、公園にいた他者とプリキュアたちに反抗的な行動をした。
  3. 仮の安定1:ガス抜きされて無印第16話のラストでは仮の安定に至る。そして無印第34話を迎え、
  4. 演技:なぎさが自分のマドンナ性を脅かしていることを知った小田島は、自分のマドンナ性を守ろうとしてペルソナを最も受容することになる。
  5. (仮の)自己実現:なぎさを強敵と認知することで、なぎさがいる限りにおいて小田島は自己実現を成し遂げたような地点にたどり着くが、
  6. 無気力:高等部に進みなぎさが遠くなると、小田島は生命力を無くしてしまい無気力に陥る。
  7. 自己実現:なぎさが自分のシャドウ(自分のシャドウがなぎさ)であることを小田島は自己確認し、自分の中のなぎさ的なものへの通路を開く。

という感じになるだろう。


小田島チャート完結