2 無意識ではなぎさを受け入れていた無印第32話

小田島は無印第16話のラストでいちおうの平和を取り戻した。なんだかしっくり来ないものの、ていうか無印第16話だけでは小田島って何だったんだろうという感じだった。しかし無印第32話でもう一度小田島が出てきて、ここに至り小田島が何なのかということについては多少見通しがついたのだった。ということで無印第32話までの小田島チャートです。


無印第32話までチャート

小田島の第二部は無印第32話「なぎさぶっちぎり!炎のガチンコリレー」である。本話数開始時の小田島はまず、練習で失敗をかますなぎさに目を輝かせている。ということは、無印第16話のラストから状態を引き継いでいる。しかし小田島のすぐ後ろで「なぎさは学園の人気者である。由美子となぎさがいれば、今年のリレーは楽勝だ」と下級生たちが話しているのを耳にすると、小田島は「マドンナとして絶対に負けられない」と意を新たにするのだった。
これは、なぎさについて意識的にあえて対立している。またそれを梃子にして自らのマドンナ性を積極的に引き受けている。もっとも小田島がマドンナらしい瞬間である。ここからリレー決着までは小田島がいちばん颯爽としている。なぎさとあえて対立することで小田島はマドンナを最も内面化するわけだ。そしてリレーがなぎさ勝利で決着した後、小田島はなぎさを自らの正当なライバルとして認めた。
しかしそれは、なぎさ的生き方を自分のものとして受容したわけではない。あくまでも自分とは対立的なもの(ライバルだわな)として認めたのだ。ということで小田島の自我だけを見れば、無印第32話のチャートは無印第32話中盤の「マドンナ受容−なぎさ留保」で終わっている。
しかし小田島の無意識では、それまで拒否していたなぎさ的生き方を受容している。無印第16話での小田島は、結局最後までなぎさを単なる一般人として扱っていた。しかし無印第32話ではなぎさを一貫して自分と対抗できる特別な存在として処遇している。これはなぎさを受容しているのであり、受容の仕方が「敵であるか味方であるか」の違いでしかない。まさに強敵と書いて「とも」と読む、である。