2 七変化する志穂


志穂チャート
志穂は莉奈よりも単純な性格設定で登場しており、さらに類型的というかそういう感じで変化させないでずっと持っていくかと思いきやそうならなかった。基本設定が類型的であるからこそ、変化をつけやすかったのかもしれない。
無印第8話では、ほのかと喧嘩をして落ち込んでいるなぎさの変化に気がついたのは莉奈ではなく志穂だった。まあしかし莉奈はそれを口にしなかっただけということも考えられる。とにかく志穂は刹那的性格を発揮して、自分が感じたなぎさの変化を素直に表明している。のだが無印第8話では、以外にも他者のわずかな変化を感じることができる性格であることが示されたのだった。
さらに志穂は意外な面を見せる。無印第33話の志穂莉奈版無印第8話では、ラクロスで引け目を感じていることと、それに打ち勝とうとひそかに猛特訓していたという姿を見せる。これは部のみんなに迷惑をかけたくないという感じであり、「利他的−思慮的」な面と言える。ここで志穂は当初の性格から対照の位置までをカバーしたことになる。
MH第20話のぽん太の介では、莉奈の変化に気がつくのは再びであるが、志穂にしては珍しくどうしたらよいかわからないという迷いを見せる。そして今回のMH第37話では、将来に映画の世界へ進みたいということで台本まで書いて準備をするという面を見せている。
ここでは脇役という範疇を越えているように思える。莉奈についてもぽん太の介があるのだが、これは一発ネタである。どちらかというと、莉奈の秘密をめぐってなぎさほのかと志穂が振り回されるというお話である。莉奈は結局脇役である。しかし今回の志穂については志穂の両親が出てきていることで、話はちゃんと志穂の物語として構成されていると感じられる。
ということで志穂は基本的な性格設定は脇役として不変であるが、実にさまざまな面を見せているのだった。