知らないこと

光と闇との争いについて、なぎさとほのかは一体何をしているのだろう。というのはMH第23話のことではなく、無印を含めいままでずっと「ふたりはプリキュア」各シリーズについて考える時に浮かんでくる疑問である。
なぎさとほのかが何をしているのかといえば、やってくる敵と戦っているわけである。それは彼女たちにもわかっている。視聴者のわれわれにも見えている。しかし彼女たちは戦うことで何をしようとしているのか、何を手に入れるために戦っているのかということになると状況は変わってくる。以下粗雑な一般化ということで。
なぎさとほのか(そして視聴者)はあまりにも状況から疎外されている。それはなぜか。ひとつには、現在の日本語社会に住む多くの人々にとって、大きな状況を知るという行為に説得力が無いということだろう。
また、大きな状況を知る(もしくは知ったと思う)ということはある整合的な世界観を個人がつかむということである。その世界観に沿って正義が現出する。その正義は個人に成すべき義務を指し示す。そのようにして見えてくる正義は説得力を持たないどころか胡散臭い、と感じられる。
彼女たちが戦う意味を真に見つけたのは、無印第42話から第45話までの間ではないかと思われる。「ふたりはプリキュア」がここまですすんでようやく理由を見つけられた理由は、彼女たちが見つけたのが絆の力だったからだ。彼女たち(そして視聴者)が絆の大切さを納得するためには、納得するだけの絆が描かれる必要があったからである。
絆以外のものを彼女たちに背負わせない、というのが「ふたりはプリキュア」を進めていく上での前提であろう。そこでそれ以外に彼女たちに理由を与えてしまうような知識から、彼女たちを遠ざけることとなった。のかなあ。