1 つながり〜終わりと始まり

今回の莉奈とぽん太の助について、なぎさとほのかは友人である莉奈の立場に立っている。ぽん太の助と別れる莉奈に彼女たちは自分を重ね、半年前に自分たちが経験したメポミポとのお別れを体験し直している。
一方ぽん太の助に重ねられていているのは洋館の少年だ。ぽん太の助にとって今回の出来事は、莉奈とのお別れというよりもあるべき姿への回帰であり、本来側にいるべき母親との再会であった。これは少年が今回ラストで洋館を出て行くことにあたる。洋館は少年が本来いるべき場所ではない。さらに少年が本来出会うべきである(はずの)九条ひかりとの出会い(ひかりと少年をクイーンとジャアクキング様だと見なせば再会)である。
もうひとつ、莉名とぽん太の助は心理的に絆を結んでおり、この絆が比喩として九条ひかりと洋館の少年をも結んでいるのだと言うことが示されていた。
九条ひかりはぽん太の助を見ているし、莉奈がぽん太の助を手放したくないということもなぎさほのかから聞いていた。だから九条ひかりも莉奈の側から今回のぽん太の助騒動へコミットしている。
一方ぽん太の助と洋館の少年は、お話の上では何の関係も無かったのであるが、視聴者にとっては事情が違う。ぽん太の助が莉奈によって本来あるべき場所から隔離されていたという前半の状況は、洋館の少年が外へ出たいと願いながらも魔人たちによって閉じ込められていたここ最近の洋館事情と重ね合わせて理解されるように演出してある。「まだ早い」と洋館の少年を閉じ込めていた魔人達の言葉を、今回莉奈がぽん太の助にほとんどそのまま使っているわけだ。
また、莉奈が語ったぽん太の助との出会いは、怪我をして親とはぐれていたぽん太の助を見つけた莉奈が、ぽん太の助を空家となった森の家屋に連れて来たということだった。これも少年がひとりで森の中の洋館にたどり着き、そこで手厚い保護を受けているという事に思いを致さないわけにはいかない演出である。
莉奈とぽん太の助との出会いと別れというひとつの出来事を、莉奈側から見るかぽん太の助側から見るか(ひとつの出来事を表から見るか裏から見るか)ということである。ひかり(プリキュアチーム)と洋館の少年(闇の側)が実はひとつの何かを通じてつながっている、というのが今回のぽん太の助騒動を通じて描かれたことであった。