1 話の流れを振り返る

第46話:お別れ

第46話は、アバンタイトルでなぎさ回想がある。しかし、誰かの視点による前回の回想が、無印ではこの第46話で最後である。この最後の回想は重要で、なぎさとほのかが最終決戦で闇の力に立ち向かう理由を描いている。さくら組の合唱をBGMとして、合唱シーンと戦闘シーンをカットバックさせながら、なぎさが以下のように回想する。

さくら組のみんなに応援してもらった気がするよ。みんなといっしょだと本当に元気が出るし、勇気も湧いてくる。自分の居場所がある、帰れる所があるって、すごく安心だって思っちゃった。

これは、無印第46話のBパートでなぎさとほのかが「大切なみんなのために戦う」ことを再認識するシーンと重なっている。

  • 続くAパートは、冬休み明けの登校だった。離れ離れになっていたクラスメイトと出会う日に、なぎさとほのかはクラスメイトに別れを告げて決戦に向かうのだった。このあたりから、逆転の連続がはじまる。

Aパートでは日常話をすっとばして、ポルンがベルゼイ・ガートルードに捕まる。それまでならば、この展開だけで1話分の進展だ。

  • 番人が呼び出されるが「私以外、石の力を動かすことはできない」と、光の側に形勢逆転…
  • と思いきや、ベルゼイが呪文を解読したと高らかに宣言し、そのとおり光の力が分身たちの手に渡ることになる。再逆転。分身たちは洋館へと去ってしまい、番人と光の力と分かれてしまったわけだ。これで2話分ぐらいの展開だ。
  • しかしさらに第46話は続く。話は日常に戻り、なぎさとほのかは渡り廊下でベローネのクラスメイトと過ごしてきた時間を追体験する。このシーンの前日には、ほのかの部屋でプリキュアチームは最終決戦に向かう決意を固めていた。まあそれだけでも戦う理由は付くのだが、Bパートの半分を使ってクラスメイト=日常の大切さをふたりが実感するのだった。そして同時に、その大切なクラスメイトとお別れをする。
  • そして二度目の変身。これはそれまでで初めてのことであり、次回は変身しているところから始まるわけだ。構成として逆転している。また、ここで使われているBGMは「☆SHINING STAR☆」だ。半年前の第一次決戦では、ジャアクキング様を打ち破った時のBGMをここで使うというのは、今度は前回よりもはるかに厳しい戦いが待っているということを示している。で、プリキュアたちはこの世界にお別れを告げるように、闇の洋館へ向かい消えてゆく。

脚本は清水東氏。無印では開始直後の川崎良氏を引き継ぐ回や、重要な戦闘回を担当している。まあ最終決戦の火蓋を切る役割としては、妥当な選任だろう。

第47話:放置

第47話はまたもやAパートで1話分、Bパートで1話分以上の展開となっている。これ、ここからまだあと2週続くんだよな。関連グッズの好調、2年目継続決定という追い風を受けて、作りたいものを作っているとしか思えない。何度見てもすごいよな。

  • のっけから番人が「いくらなんでもこいつらに、全てを生み出す力を引き出すことなど、できるわけが…」と言う。ではどうするのか、というのが逆転につながるわけだ
  • プリキュアたちが洋館に参上。これで大丈夫! と思わせておいて…
  • 闇の祭壇には力のフィールドが形成されていて、手出しできない。それどころか…
  • 実は分身たちはプリキュアを必要としていて、プリキュア達が洋館に来たのは状況をより悪化させることになる。逆転。
  • で、分身たちの闇の呪文により、石の力は引き出されてしまう。ここでプリキュアたちは倒される、かと思いきや。お怒りのジャアクキング様が分身たちをドツクゾーンへ召還する。プリキュア達も引きずられてドツクゾーンへ。お話はどうなるんだ。逆転。しかも残された番人、そしてポルンが結局あんな役割を果たすとは。
  • ドツクゾーン辺境で、プリキュア対分身三人。プリキュアたちもおしまいか… ところが三人はプリキュアを放置。ジャアクキング様を倒すために歩き去る。しかも三人はプリキュアから「自由」という言葉を学ぶ。
  • 分身三人対ジャアクキング様、闇の支配者を巡る同士討ち。それは規定路線としても、分身たちは融合してひとつになる。この展開は超熱血でものすごいと思うのだが、日曜朝8時30分としてはもうわけがわからん。分身を融合させるというアイデアを出したヤツはすごいな。何かが憑いていたんだろう。
  • 誰かの靴。誰かって、もうワンカットで分かるって。キターーーーー!!! 最後に現れるキリヤ。

脚本は影山由美氏。第46話以降ほとんど基本線は決まっているだろう。分身たちが自由という言葉を手に入れるあたりが、おそらく影山氏のアイデアなのではないかなと推測。お話の展開としては、プリキュア達は置き去りが基本であり、話としては結局一直線に進んでいる。羽原氏が映画担当、成田氏が最終回担当ということで、影山氏が第47話担当となったのだろうと思われる。重要な転回点の連続は、次回第48話の川崎脚本にてほとんど全てが行われており、この最終決戦については川崎氏がみっちりとプロットを準備したのだろうと思われる。

第48話:逆転逆転逆転

第48話は、第47話までの状況が整理され、第49話へとつながってゆく。お話の主要な部分はすべてここで整理されるので、ストーリー上では第48話がもっとも重要である。サブタイトルも「プリキュア最後の日」って、まだ最終回ではないのにこのタイトル。

  • これまで続いてきた戦闘のテンションを逆転させる、キリヤとの会話。井戸の底ですね。戦闘の主役はやっぱりプリキュア達なんだ、という再確認。
  • 戦闘でプリキュア有利か、とみせつつやっぱりダメ。望み薄のマーブルスクリューはやはり効かない。キリヤも番人もあきらめ。ポルンがレインボーブレス発動するが、ダメ。もう手が無い… このあたりが絶望の底(ただし一段目)ですね。
  • ここからプリキュアたちの逆転がはじまる。長老の声に導かれ、レインボーブレスドツクゾーンへ。ポルン格好良いぞ。これでポルンはお役御免かと思いきや、さらにまたあるんだが。そしてキリヤも手助け。起死回生のレインボーストーム
  • ところが状況はまた逆転。みんなのちからが集まったことが、ジャアクキング様へ光の力を渡すきっかけとなってしまうわけだ。
  • ジャアクキング様が力を手に入れる。絶望の底(二段目)。
  • レインボーストームは弾切れ(のはずだが、メップルは二発目を打てと言っている。このあたり設定無視だよな)。
  • ジャアクキング様の巨大エネルギー弾が迫る絶望の底(三段目)。ほんとうにどうしようもない感じ。このあたりの描写は、映画版ナウシカ巨神兵覚醒を思い出す。速度感や威圧感の描写はかなりのものだと思う。
  • 空間の亀裂にハマり、虹の園に帰還する。逆転。それってアリ? しかもジャアクキング様が降臨。動けるんだ、という疑問は置いておいて、ドツクゾーンって虹の園の上にあるんだ、という疑問も置いておいて、プリキュアたちとジャアクキング様が空から降ってくるというのは、もちろん井戸の底のそのまた底での最終決戦、ということだ。

第49話:ポルンとキリヤ

第49話は、プロットそのものは単純だ。舞台は虹の園、敵はジャアクキング。ポルンが二回頑張って、レインボーストームを二度打ち込む。キリヤは戦況を見守るだけ。戦闘シーンではセリフによる説明っぽい説明がいくつか見受けられ、詰め込む描写の量をうまく消化できていないように見受けられる。ただし全体的に見れば肉付けは成田良美氏脚本ということもあるだろう、特にラストの日常シーンは説得力ある描写が続く。
おばあちゃまの初期設定である「不思議なちから」を感じさせたり、卒業式をうまくからめたり、キリヤ似の少年のところもなかなか。