4 和のひかり、知のひかり

今回MH第12話は、これまで描写されてきた情のなぎさ、理のほのかという性格分類に加え、和のひかりまたは知のひかりとでも言えそうな性格付けが九条ひかりに与えられたような気がする。
タコカフェの宣伝部隊として出て行ったなぎさとほのかはとりあえず頑張る。タコのうんちくを披露するほのかと、お客さんの手を引いて哀願するなぎさ。それぞれ理のほのか、情のなぎさとしてなんとかあかねさんのたこ焼きを売ろうとする。しかしナデシコ高原の産品を使う他の出店に太刀打ちできない…
というところで、ひかりは高原のたこ焼きセットを考案することとなった。ひかりはなぎさほのかの特攻と玉砕を後ろから観察し、自分に何ができるだろうかとずっと考えていた(それまでに何度かのひかり沈黙カットをはさんでいる)。そしてベルちゃんの体についていた花を観察し、なぎさのつぶやきをしっかりと耳にしている。そしてそれら断片的な知識を組み合わせて、高原のたこ焼きセットを考案したのだった。ここから知のひかりという側面が見えてくる。これは、無知なる存在からだんだんと成長してゆくという「九条ひかり」の物語を強調することとなる。
ただしひかりは九条ひかりであると同時に「クイーンの命」でもある。クイーン再生の物語を重視すると、和のひかりという側面が出てくるだろうと思う。高原のたこ焼きセットは確かにひかりが考案したのだった。しかしひかりが何も無いところからいきなり思いついたわけではない。なぎさとほのかが彼女たちなりのやり方で特攻していなければ、ひかりはそもそも何かしようと思わなかっただろう。なぎさとほのかが必死で頑張っている、しかしお客さんは来ない、おいしいたこ焼きを作っているのにそもそも食べてもらえないのであかねさんは落ち込んでいる。みんながこんなに頑張っているのに、私は何もできないのだろうか… という気持ちがなければ、高原のたこ焼きセットは生まれなかっただろう。
また、ベルちゃんはなぎさでもほのかでもなく、ひかりを追ってタコカフェまでやってきたのだった。おそらくベルちゃんは、ひかりの中に存在するクイーン性を感じたからこそ、ひかりになついたのだろうと考えられる。プリキュア関係者たちはひかりがクイーンの命であるということを知っており、クイーンの偉大さを知っている。あかねさんもまた、クイーンが何らかの力を及ぼして九条ひかりを親戚だと思い込んでいる。それだけではなく、九条ひかりとしてのまじめさや気立てのよさをあかねさんは好ましく感じている。そして言うまでも無く、ハーティエルたちはクイーンの命であるひかりの元へ引き寄せられている。
ということで、ひかりはクイーンの命としていろいろなものを引き寄せ、結びつけるという性質を持っていることが分かる。この側面を強調すれば、和のひかりという性質が浮かび上がってくる。
いまのところ、九条ひかりが知の人なのか和の人なのか、それとも両方なのかということは分からない。ただしなぎさとほのかが情と理でありながらも、どちらも突っ走ってしまう傾向があるという点ではいっしょなのと比較すると、ひかりは思慮深く周囲を観察してから動いている。