定義としての「わるいこと」

# itamasu 『いえ、僕はポルンが特に悪いとは思いませんよ? 子供が大人の気持ちなど理解せず自分の欲望のままに行動するのはごくごく当たり前のことで、そういう意味でポルンは非常に正しい子供だと言えるでしょう。まわりの大人がそれを放っておいたらそれは悪いことですが、なぎさは甘やかさずにちゃんと叱ったし。登場キャラがみんなそれぞれのキャラらしく行動していてほほえましいシーンだと僕は思いましたが。』

これは失礼しました。ポルンが正しい子供というitamasuさんの言葉に僕は同意します。正しい子供としてとりうる行動はいろいろあり、たとえば気に入らないことがあるときに「駄々をこねる」「条件闘争する」「おとなしく聞く」というのはどれもありうる行動だと思います(ただしここでは必ずしも「おとなしく聞く」という行動が子供にとってよいことなのかというとそうでもない)。

彼の行動を『大人の価値観の物差し』ではかると、そりゃあわがままにうつるだろうと思います。しかし『価値観の物差し』は対象が変わるたびに変えるのが望ましく、ポルンの行動は大人のそれでは計れないと私は思っています。(コメント;s-takee)

えみさん(id:s-takee)コメントいただきありがとうございます。itamasuさんとえみさんには、僕が言及しなかった(できなかった)ところを的確に指摘していただき感謝します。えみさんが書いているように、popochikuさんとえみさんとの違いは、ポルンの行動を「わるいこと」であると評価する軸がどのあたりにあるかなのだと思います。popochikuさんは大人を評価する軸においてポルンの行動を評価しており「他人の迷惑にならない」「自分がしたことの責任はとる」という評価基準に照らしてポルンはわるいことをしているのだと結論している。一方えみさんは、子供の行動は子供を評価する軸において評価することが必要であり、子供を評価する軸においてポルンの行動は「わるいこと」ではないと考えているように思います。
ポルンの行動は、いずれ彼が成長した暁には修正されなければならないものであると僕は思います。ただし今の段階で「おまえはわるいことをしている」と叱ることだけが正しいかと言うとそうではなくて、えみさんが言うように子供たちそれぞれの状態や発達段階に従いながらこちら(大人)が対応を変えていくのが必要だろうと思います。例えば塾で小学校低学年を相手にしていると、叱ることが意味を持つには、子供との間に信頼が結ばれていなければならないと強く感じます。しかし難しいのは、信頼は時として叱ることにより結ばれることもあるというところです。誉めてばかりいると付け上がるし、叱ると叱るで反発する。ある子供は叱ると萎縮するようだったので「正しいこと」ができたら誉めるよう心がけ、またある子供は誉められることに慣れていたようだったので機会を捕らえて恐怖を植え付けるように接したこともあります。「無断で席を立たない」とか「消しゴムを忘れたときは『忘れた』ではなく『先生消しゴムを貸してください』と言う」とかの行動をさせるにも、信頼が無ければなだめてもすかしてもさせることはできない一方で、信頼があればそうはならない(信頼というのは総体的な感覚で、でもちゃんと目を見てくれるとか声の調子がぞんざいではないとかかなりはっきりと分かるものです)。
このあたりはitamasuさんが「まわりの大人がそれを放っておいたらそれは悪いことですが、なぎさは甘やかさずにちゃんと叱ったし。登場キャラがみんなそれぞれのキャラらしく行動していてほほえましいシーンだ」とコメントしているところなのだと思います。なぎさは叱る。ほのかは後ろで見守る。メップルメップルの価値観で叱る。ミップルはメップルとポルンの間を取り持つ。ひかりはできるだけポルンを優しく扱おうとする。ひとりひとりを見れば足りないところがあるけれど、ポルンを取り巻く彼らをひとまとめにすれば、ポルンはめぐまれていると言っていいだろう。