1 恋人から家族へ

今回お話の筋としては運命のふたりが思い悩み、最後には信頼を見つけるということだった。一年目の無印第8話があのようなものだったので、お話としては同じである。ただし構造が大きく異なっていて、無印第8話が恋人の物語であったのに比べ、MH第8話は家族の物語になっている。
というのも一年目第8話時点では、なぎさとほのかはふたりきりだった。そのふたりがプリキュアのことについて仲違いしてしまえば、誰に頼ることもできなかった。運命の重力がそのままふたりを引き剥がす反力となるのだから、無印第8話にいたるまでの道のりは辛く険しいものとなった。ふたりはふたりだけで亀裂を修復しなければならず、地の底のような静寂と闇に包まれたそれぞれの部屋で、それぞれの孤独をかみ締めることになった。ただし同時に、ふたりは運命に導かれて全く同じ孤独を味わった。ダイアリーを開いた瞬間にふたりがともに見たものは、ほかの誰にも開かれていない、二人だけに開かれたひとつの思いだった。自身の孤独を突き抜けた先に見つけたのは、お互いの姿だった。うーむ、つくづく恋人の物語だ。
それはまあ無印第8話だからおいておいて、ポルンとひかりが子と親の関係ですれ違い、ひかりとあかねさんが子と親の関係で子供が何かをしたいと思うけれど何もできなくてもどかしいということが今回の話だった。あかねさんは「怒ることも誉めることもできる」完全な大人として存在していて、ひかりは「誉めることはできるが怒らない」大人の心がわかる子供として存在していた。そしてポルンは「誉めてほしいし怒ってほしい」子供としての子供として存在していた。そして、なぎさとほのかは完璧なパートナーシップを持った「ちい姉」としてポルンとひかりから信頼される一方、あかねさんに対してはひかりが言えなかった「手助け」を申し出ることで、ひかりよりもあかねさんに近い(大人である)ことが示されている。
ということで今回MH第8話は家族の話となっていた。ポルン、ひかり、あかねさんがひとつ屋根の下に住む親子としてお互いの気持ちを知ることとなった。またなぎさほのかは家を出て自立している姉のような立場で、その三人の間を取り持ったのだった。