光の家族の物語

やっぱり光の側についてもクイーンの子供が女の子(なぎさとほのか)である必要はない。それにポルンは王子と言うものの男とも女とも見分けのつかない容姿と行動をしているので、単に子供であると考えてよい。分身たちの成長が、三人に分割された精神が元通りひとつへと融合することで行われたのに対し、ポルンの成長は混沌のままの未分化な「ひとつ」が秩序を手に入れるという形で行われているというのは興味深い。光と闇はここまで鏡像関係にあるわけで、そのあたりはよっぽど計算しているかよっぽど心の動きに忠実で計算を忘れているかのどっちかであるような気がする。
クイーンは一見子育てを放棄しているように見える。しかしお守り役に伝説の戦士プリキュアと、メポミポをつけているのだからただ放っぽりっぱなしというわけではない。時によっては長老のアドバイスをポルンに遠隔で与えているし。それにポルンを旅に出す前、光のクイーンはちゃんとポルンに宿題を出している。成長課題を与えて子供を旅に出すというのは、ビルディングスロマンの定番である。
ポルンは母親の目を離れて、いろいろなことをする。暴れまわってなぎさに迷惑をかけたり、駄々をこねまくってメポミポを困らせたりする。お母さんであるクイーンの目の前では緊張するだろうが、遠くはなれていれば好きに暴れられる。ジャアクキング様とは違い、クイーンは監視しているわけではないし、命令しているわけでもない。ポルンに試練を与え、最強のお守り役をつけて旅に出し、自分は手を引いてじっと待った。やがてポルンが自発的に成長するのをじっと待っていた。
ということで、最終回でようやくポルンは自らの力で成長した。クイーンは子育てに成功したのだった。いや、あれが育てているといえるのかどうか断言しにくいのだが、まあそういう自立をうながす親の子育て物語なのだった。