3 対等に近づく善と悪

彼らはダークファイブとは違って最初は人間として存在して、その後魔人として覚醒しています。だから彼らもプリキュア同様(!)(精神的には完全に闇の存在だとしても)人間の姿が本来の姿で、そこから変身して魔人になっていると言えます。「光の側と似た布陣」というのはちゃんと狙って描写してるんでしょうね。(itamasu, id:dokoiko:20040822のコメントより)

光の側と似た布陣になったという指摘はおそらく正しいと思う。ドツクゾーン編のラストで示唆されたことだが、ジャアクキング様と光のクイーンは存在としても光と影の関係だった。光が無ければ影も無く、影が無いということは光もまた存在しないという関係だ。光と闇という言葉の上での対照のみならず、光である光の園と闇であるドツクゾーンは存在の上でも不可分でありかつ対照的な存在だということだろう。現シリーズの復活編ではそのあたりの設定を、物語のより深い部分にまで適用しているのだと思われる。
ドツクゾーン編において、変身はプリキュア側だけのものだった。魔人たちは最初から魔人の姿だった。また彼らは人間の姿に変化する能力を身に付けていたが、ドツクゾーン編の魔人5人が変化する/変化を解く瞬間は最後まで描かれなかった。唯一ポイズニーが犬姿から普段の姿へ変化していたが、それは鉄柱の影になっていて変化そのものは描かれていなかった。変身はあくまでもなぎさとほのかだけのものであり、ここについては善と悪は対等ではなかった。またitamasuさんが見ているように、ごく普通の存在が特別な存在になるのは善の側だけだった。これは「自分の周囲には善しか存在しない」ということであり、視聴者は別のどこかから襲い掛かってくるものだけを悪として待ち受けていればよかった。
しかし現シリーズの復活編では、分身たちはなぎさほのかが住む虹の園で生まれた(であろう)身体を持っている。本質的に今回の分身たちは、虹の園という「こちら側」に根を持つ存在でもあるわけだ。そして善と悪との対象性をこれでもかと駄目押ししようとするならば、分身たちにも変身バンクを用意することだ。分身たちの変身が描かれれば、分身たちはプリキュアとほぼ対等な存在となるだろう。
ドツクゾーン編では、悪には悪の理屈があるのだという描写はあった。しかし善と悪との対象性は映像に表現されていなかった。今後分身たちの変身バンクが出るなど悪には悪のスタイルもあるのだと映像で描写されるとしたら、敵の存在感も増してプリキュアという番組も盛り上がるだろう。