5 ラストシーン

ラストシーンは、なぎさとほのかがいる坂の頂上を引きの絵で捕らえていた。なぎさとほのかのはるか向こうには、どこまでも続く幸せな街並が静かに暑い夏の中たたずんでいた。さなえおばあちゃんが坂の頂上で抱いた希望は、長い時間をかけて幸せな街並として現実になったということだ。
なぎさとほのかの物語においても、彼女たちが今この坂の頂上で抱いた希望を失わなければ、最後には眼下に広がる街並みのような平和な世界へとつながるのだ。
こうしてラストシーンにおいて、さなえおばあちゃまの物語となぎさとほのかの物語は、今彼女たちが眺めている町並みで結びつけられている。今ここに広がる平和な町並みはさなえおばあちゃまのものでもあり、なぎさほのかのものでもあるのだ。さなえおばあちゃんとなぎさほのかの絆も、昔話を飛び越えていまここで結ばれたということだ。
ただしさなえおばあちゃまとなぎさほのかが置かれている客観的な情況は違う。さなえおばあちゃまにとって廃墟とは終わってしまった単なる静寂である。また現代の街並みはさなえおばあちゃまの立場であれば、すでに達成された平和な町並みだ。しかしなぎさほのかにとってはどこかに新たな魔人たちを含んで不気味な静けさをたたえた不安な町並みだ。ほのかが「何とか持ちこたえているけれど、本当はばらばらになっちゃいそうなんだから」と言った状況だ。
守るべき物としての街並み、戦うべき相手の存在、プリキュアとして希望を確かめ合ったなぎさとほのかの決意。第8話のようなすがすがしい気持ちというわけではないが、今回は良い話だったなあと頷きながらエンディングを見ることができる。良い展開だった。