2 安定した展開

ふたりはプリキュア」と言えば視聴者を置いてけぼりにする突発的なセリフが特徴だ。そんな特徴はどうかと言えばその通りだが、ここまで続けて見ている(というか視聴継続できている)人たちはもう慣れているのではないだろうか。それがハマれば劇的な展開にもなるのだが、得てして「映像で表現すべきところを安易にセリフで」という場面が多い。

  1. 物語の構造が明確である。さなえおばあちゃまの思い出シーンが坂へ向かう契機から結末まで先行して描かれており、それをなぎさほのかが反復することが分かるように組み立てられている。
  2. さなえおばあちゃまが60年前の坂の頂上で希望を回復したことが示されているので、なぎさとほのかも希望を回復するだろうと予見できる。無数のザケンナーに絶望するなぎさにシンクロしながらも、視聴者はなぎさの絶望が希望にたどり着くプロセスを(無意識にでも)期待して楽しむことができる。
  3. 前回のジュネ覚醒のストーリーを僕はいまいちちぐはぐに感じたのだが、それはプリキュアたちのストーリーがポルンの単独エピソードでしかなく、ジュネ覚醒の重さに対抗できていなかったからだろう。その点今回は、しっかりした描写のさなえおばあちゃまストーリーが先行し、最近特別な存在になりかけていたなぎさほのかの不安を描いてもそれを包み込むことができていた。さらにレギーネ覚醒のストーリーとなぎさほのかの不安のストーリーをさなえおばあちゃまの思い出が詰まった坂の頂上で衝突させ、今回語られた三つのストーリーを重ねて密度を上げた。
  4. それに負けない密度の濃い戦闘シーンを描き、さらに少しずつ描かれていた火のエネルギー描写を重ね、噴火シーンを戦闘シーンと重ねていた。今回描写したほぼ全てのストーリーが一枚一枚重ねられて噴火シーンにつなげたわけで、それで盛り上がらないほうがおかしい。