1 三重のプロット

今回第18話のプロットは三重になっていて、ひとつが昨日分に書いた聖子の物語だ。聖子の恋心をめぐる内輪の相談から緩やかに物語が立ち上がり、初回の告白でキリヤの閉ざされた心をゆっくりと描写した。そして志穂莉奈を援軍に迎えての第二回告白ではキリヤの感情を負の方向に飛ばした。キリヤが聖子の手紙を破り捨てることで物語りは本格的に動き出す。ここで聖子の物語は中断する。聖子の物語はキリヤとほのかの物語へと接続され、ふたつの物語は絡み合いながら急加速する。その後、後述するキリヤとほのかの物語がふたたび聖子の物語へと接続され、聖子の物語はキリヤの心理変化を抑えつつ完結する。ということで昨日分の感想タイトルを「加速」としました。
ふたつめのプロットが中間試験の物語だ。これはメインプロットがキリヤと対をなしているほのかに偏っていてしかも内面劇という「暗い」話であるため、なぎさに焦点を当てた「明るい」ドタバタとして構成されている。中間試験というおいしい時事ネタを全面展開することなく、しかもメインプロットの暗さを救うカウンターとして贅沢に使うあたり、2クール26話で終了するのではないかと一部の視聴者を心配させることにもなっている。しかしその贅沢さはこの番組ではもはや日常と化しており、さらに今回第18話の素晴らしさになっているわけだ。
そして三つめのプロットが、メインであるキリヤの内面劇だ。キリヤの内面をめぐる今回第18話の出来事をまず整理しよう。ほのかに責められたキリヤが渾身の絶叫でほのかの間違いを叩きつけたことがその頂点であり転回点だった。あれはキリヤの悲鳴である。よって本日のタイトルは「悲鳴」です。