6 闇から生まれた者の宿命


要約:闇から生まれたものの宿命を巡り、キリヤ、ポイズニーは対立することとなった。やがてイルクーボも含んで宿命を巡る三者三様の位置が明らかになるだろう。
キリヤが人間の世界にどんどんと偏りつつある。その描写と対を成して、ポイズニーの役割が今回描写された。まずはアバンタイトルに描かれたドツクゾーンの情況描写からポイズニーの言葉を抜いてみよう。

イルクーボジャアクキング様の体が蝕まれていく。我々はジャアクキング様と共にある。何としても、ジャアクキング様の御意志に答えなくてはならない」三人のロングショット。キリヤはひとりポイズニーに背を向けている。
ポイズニー「闇から生まれたものの宿命としてね。それは分かっているわ。ただ良く分からないことが起こったりするのよね。この前も…」ポイズニーは自分が絶体絶命に追い込んだプリキュア戦を回想する。そして力を封印してなぎさを呼び込んでしまったキリヤを回想する。敗戦の核心がキリヤの手抜きにあることを、彼女はちゃんと知っていたのだ。
ポイズニー「キリヤ。いつまであんなところで遊んでいるつもり?」キリヤが映し出される。彼はおもむろに下を向き、右手に貼られたバンデージを見つめる。バンデージの向こうにほのかが残していったいろいろを見ているのだった。

闇から生まれたものの宿命を受け入れ、闇の存在として光の存在と対決する妥協無き意志を持つのがポイズニーだったのだ。この宣言でポイズニーが人間の世界に歩み寄る可能性が消えた。それどころか彼女はドツクゾーンの番人として徹底的にプリキュアと対立する。そして多分、ほのかを通じて人間の世界に近づきつつあるキリヤを裏切り者とみなして容赦なく攻撃することになるだろう。そういう決意を当然のものとしてさらりと口にするポイズニーは恐ろしい。すでにあえて感情をヒートアップさせる必要もないのだ。
キリヤの空中シーンでは、今まで結びついてきた同志としてキリヤを正気に戻そうとする。それも誘惑するように優しい態度と、脅すような厳しい言葉で。そのあたりの気高さは今回の戦闘シーンでも強調されていた。
今までプリキュアとの肉体的直接対決を避けていたポイズニーは、鏡の世界にプリキュアを誘い込むという智謀に加えて抜群の身体制御でプリキュアたちを翻弄する。なぎさを吹き飛ばし、ほのかを蹴散らし、そしてバレリーナのように回転しつつなぎさをまた吹き飛ばす。そして自らの力の余韻を楽しむように回転を続け、ぴたりと動きを止めると見得を切る闘牛士のようにマントを右手でかざしている。
「あたしの武器はザケンナーだけじゃないのよ。さあ、プリズムストーンを渡しなさい」
チョコ娘になってなぎさを騙していた頃のポイズニーとは全く違う。戦闘シーンではプリキュアたちがかすんでしまうぐらい格好良い。ポイズニーは宿命を背負う闇の存在として迷わない。イルクーボの位置がどのあたりに来るのかはまだ分からない。しかし次回からイルクーボが参戦することで、キリヤ、ポイズニーイルクーボが目の離せない際立ちを見せることにもなるだろう。