藤村省吾|学園一のモテモテ王座転落か

ベローネ学園男子部三年、サッカー部キャプテン。容姿端麗、気は優しくて陽気で明るい好男子。それが学園一のモテモテ王である藤村省吾だ。通称藤P。通称といえば私の塾に「通称柴田(仮名)、本名柴田(仮名)」というわけのわからない塾生がいるのだがそれはまあ置いておこう。省吾といえば「じぇいぼぉ〜ぃ じぇいぼぉお〜〜〜ぃ」の浜省こと浜田省吾であるが、造形的にはベストの袖をまくるなど友人の木俣に近かったりするのだがまあそれも置いておこう。
第13話キリヤ登場のシーン、練習を終えたなぎさがサッカー部グラウンドの脇を歩いていると藤Pファンクラブの女性徒たち20人が列をなして金網の向こうで指示を飛ばす藤Pに黄色い声援を送っている。まあ体調が悪かったり用事があったりする女性徒もいるだろうから、少なくとも20人のファンがその他のサッカー部員を完全に無視してさえも藤Pに声援を送っている。そしてウルトラ文科系ともいえる科学部の女性徒たちでさえ、
「みんな〜! 大ニュースよ! なんと、転校生が藤Pをサッカーで負かしちゃったんだって!」
「ええっ! マジで?」
「あの、藤村君が?」
「何でも、今日入ってきたばかりの転校生らしいわぁ!」
「へえ〜! みんなで見に行こうよ」
と、しっかりと藤Pをチェックしている。単なるイケメン体力バカならば、科学部の面々がそれほど注目するはずはないだろう。ということは物腰や成績においても藤Pは一目置かれるほどなのだろう。文武両道のスーパーイケメン中学生。それが藤村省吾、通称藤Pである。
ところがそんな学園一のモテモテ王でさえ、プリキュアによって人生を変えられてしまいそうなのだ。直接の原因はドツクゾーンからベローネ学園に生徒として潜入してきた第4の刺客キリヤである。いきなり制服姿のままろくにアップもしないでマラドーナ並みのドリブル突破で藤Pを置き去りにし、ロベルトカルロスのような弾丸シュートをゴールに突き刺すと、あっという間にサッカー部期待の新人になってしまう。しかも編入試験では満点をとり、藤P以上の才能を文武両道にこれでもかと見せつける。そして小柄ながら切れ長のまなざしでいつもクールな容姿である。さしものいままで熱烈藤Pファンクラブ員であった女性徒たちも、突然現れたキリヤと藤Pを両天秤に掛け始めてしまうのだった。

しかしまあそんな周囲の状況は藤P本人にとって特に重要なことではないのかもしれない。あくまで藤P本人はマイペースな日々を送っているようであり、幼なじみの雪城ほのかはそのような藤Pをただの幼なじみとして対等な立場で日々を送っている。そして美墨なぎさは運動ができるとか勉強ができるとかいう属性ではなく、ただ何も知らないまま藤Pのことを気に掛けている。そういうふたりが友人としている限り、藤Pはこれからもまっすぐに成長していくことだろう。優秀な藤Pからは良くできた手馴れた言葉しか返ってこないと思われるのでコメントは取らないこととした。