1 咲舞の対照性と同質性

しかしまずは咲舞からはじめなければならないだろう。というのも満薫は咲舞の裏として登場していると思われるからだ。
咲舞は対照的である。先代のなぎほのも対照的だったが、それぞれ位相が異なると思われる。なぎほのは情と理で対照を成していた。無印第1話や第5話や第8話を筆頭に、情と理の対照性はエピソードの中核を成していた。
要素としては、咲舞も情と理に分けることはできる。しかし咲舞の対照軸は情と理ではない。S☆S第1話から舞は情をしっかりと持っている。たしかに勉強は咲よりだいぶできるようだが、それを彼女のアイデンティティとはしていない。絵を描くことが好きで、集中しすぎて周囲が見えなくなるという舞の要素は、内気であるという性質を強調しているものと思われる。ちなみにほのかは全然内気ではなかった。というように内気な性格として舞を定義すると、咲は開けっぴろげであると言える…… のか。
なぎほのと比較すると、咲舞については対照性よりも同質性も重要であるように思える。ひとつは咲舞がふたりともものすごく素直であることだ。そしてもうひとつ、咲舞は自分のことよりも相手のことを考えて行動する。