みちたろさん論考へのコメント

ということでマジレンジャーの最終回とS☆Sの第1話を見ることなく。今は明日の合同誌向け文章を辛苦の中で書き中なのでコメントで勘弁してください。

戦いは結局、(iii) クイーンが復活するということによって決着がつくのですが、しかしひかりを放棄してクイーンをとるという物語上の選択は、それ以前の展開が拒否し続けてきたものでした。だから実は(iii)は暫定的な選択にすぎず、最後にひかりが再び帰ってくることによって、この拒否は最後まで貫かれることになったのでした。ひかりの帰還は、それ以前のお話で語られたすべての示唆に反しているのですが、しかし物語の背景にあった論理からすれば整合的な結末であったと見ることができるでしょう。
みちたろさん、http://www.ymg.urban.ne.jp/home/mi1/p01.htmlの「2月3日(金) 戦いの経過」より抜粋

みちたろさんは上記論考にて、最終回の描写は物語を最終的に「解決」できるいくつかの道筋のうち、安易なものを次々と否定したものだと指摘しています。そのとおりだと思います。それは私が昨日までの最終回論考で、ブラックとホワイトに絞って考えたことと同じです。
みちたろさんと僕は、根源的なところでは一致していると考えます。ただし表現の選択として、クイーンの復活が暫定的であったということについては、蛇足ながら勝手な補足をしてみたいと思います。
クイーンの心は、ルミナスに安易な回答を禁じました。
ルミナス=九条ひかりが回答しなければならなかったのは、みんなを愛しているからクイーンになろうとしたが、みんなを愛しているからクイーンになれない、という問題でした。
みんなを愛しているというひとつの理由から「クイーンになりたい」「クイーンになれない」という二つの排他的な選択肢が分岐しているわけで、どちらかを選ぶという解決はありえない。二つの排他的な選択肢を止揚する、高次の解決がなされなければならない。
本編でルミナスが「分かりかけてきた」回答について回答は言葉で示されていない。よって我々はシリーズの流れ、最終話の流れ、動画での描写からこれを読み取らなければならない。
僕が思うに、ルミナスはここで意志が未来を変えられることに気が付き、宿命を相対化したのだと思う。ルミナスの状況とプリキュアの状況はシンクロしているからだ。クイーンが復活に入ったとき、プリキュアたちは心の宇宙が自由であることに気が付いた。
で、ルミナスがどのように未来を変えたのか。クイーンの復活には自分が消滅しなければならないという「未来」であろう。というかそれはルミナスが気づいたことの結果である。ルミナスが気づいたのは、プリキュアと同じことだ。つまり「どんな状況にあろうと、心の宇宙は自由」であるということだ。
ルミナスとプリキュアが「心の宇宙は自由」であるという言葉にたどり着いたというところで、実質上の物語は終わりである。あとはエピローグである。