アクションからサスペンスへ

ふたりはプリキュア」は無印以来だんだんと光と闇との戦いの意味が分からなくなっている。物語の構造がアクションからサスペンスになっている。

無印前半

無印前半ではジャアクキング様を戴くドツクゾーンの面々、がプリズムストーンを追って光の園から虹の園へ攻めて来る。光のクイーンに石の力を託されたメポミポがなぎさとほのかに出会い、ふたりはプリキュアとなる。プリズムストーンと世界を守るために敵と戦う。
無印前半においては、光の園ドツクゾーンはどちらにとっても、敵と味方およびその目的がはっきりと分かっていた。ジャアクキング様がちゃんといたからだと思われる。彼にはプリズムストーンを自分の生存のために求めるというゆるぎない目的があった。部下たちも彼に忠実であった。キリヤも結局はジャアクキング様に逆らうことはできなかった。
視聴者にとっても光と闇との戦いはプリズムストーン争奪戦であり、分かりやすい構図だった。

無印後半

無印後半は、前半で消滅したジャアクキング様から残された三人の分身たちが、ジャアクキング様の復活をかけてプリキュアたちと戦った。プリキュアたちは「あの者たちのことは私にもわからん(番人談)」という状態になった。分身たちがプリズムストーンを奪いに来たという理解をしている。
しかしMH第30話で番人が奪取されると様相が変わってくる。分身たちには求めていた光の力がどこにあるか分からなくなる。分身たちの課題が変わる。プリキュアたちを生かさず殺さず、石の場所を突き止めることが必要になった。プリキュアたちにとっても、敵を倒すだけではなく番人とプリズムストーンを取り戻す必要が生じた。
さらに分身たち(特にジュナとベルゼイ)が戦術の真意をめぐって争いだすと、視聴者には光と闇とが何をやっているのか分からなくなってくる。

マックスハート

光の側では的を斥けることに加え、分裂したクイーンを元に戻すという目的が加わる。しかしどうなったらクイーンが復活するのかは、誰も知らない。ルルンが登場したが、ルルンはほんっとに何も知らない。闇の側はジャアクキング様を復活させなければならないのだが、闇の側も当初は誰も復活させる方法を知らなかった。ただし高原タコカフェ回から参戦したバルデスだけが、九条ひかりのことも含め全てを知っている雰囲気で描かれている。でも彼も中盤で一度失脚していたし。
MHには光の側に7人(長老番人とハーティエルをあわせれば21人)、闇の側に5人(執事ザケンナーAB合わせて7人)いるわけだが、光と闇との戦いについて石の争奪以外が見えているのはバルデスただひとりである。