披露宴再び(4)

前回までのあらすじ(西暦2005年10月22日04:00)

寝る。

dokoiko困った!三次会まで出番ない!!

起きる。会場へ行く。結婚式と披露宴に出る。厳かに終る。二次会は居酒屋。店員にCDを再生できるかと聞いて却下される。三次会はカラオケ。ラストチャンスだろう。新婦の友人と新郎の友人いわゆる友達の友達も同席。連続で大合唱になったころを見計らってバッグを持ってトイレに立てこもる。鈴と紐を出す。拘束具を組み立てる。脱ぐ。競泳パンツを履く。壁などに気をつけて青を足首から太股へ塗る。両腕を全部塗る。胴の後ろと横を塗る。鏡が無いので向こうを確認してからそそくさと洗面台の鏡でチェック。ここで店員に見つかったらおしまいだな。手を洗って再度立てこもる。銀色を顔全体に塗る。胸から腹へ塗る。黒を出してポケットを描く。終了。出来上がりを洗面所で確認。すごいことになっている。
すると扉が開いた。知らない人。無言で用を足す。無言で両手を乾かす。無言で手を洗う。
「兄ちゃん、それちゃんと洗わんとえらいことになるよ」
「ありがとうございます。洗います」
「dokoiko〜できたか〜」新郎が様子を見に来る。
残酷な天使のテーゼ、入れてくれ〜」
「…… 強烈やな〜」新郎が出て行く。
トイレ個室に戻る。拘束具を担ぐ。かばんに全部詰めて個室を出る。待つ。
「きたできたで〜」新郎が呼ぶ。洗面所の扉を出る。廊下を歩く。新郎以外誰もいない。カラオケルームの扉が開く。

エピローグ

「もしもし。ああ、もうついたの。なんか風が強くてこっちは寒いよ」散会後ホテルまで歩きながら、元同期の友人が2次会で帰った友人と電話をしていた。われわれは同じホテルに向かっている。ペイントを落とす場所が無く、僕はスーツとシャツの更に下、ほぼ全身ペイントのままだった。全然寒くない。というかほんのり暑い。
「dokoikoのあれはねー、おまえがどれだけエヴァンゲリオンオタクでもどう考えても想像できんよ… うん… そうか…」
顔と手は落としたものの、耳や首筋はまだ銀色が残っているのだった。本番の写真を僕は撮ってないし、データをもらうことも忘れていた。プリキュアの時間に起きられるだろうか。いやに温かい10月後半の夜空を見上げて友人と歩きながら僕は思うのだった。