11 立場

おばさんの立場

大和屋のおばさんは団子を作っている。大和屋の世界において、団子を作っているおばさんは唯一絶対の主人公だ。他の人はすべて、団子を買いに来るお客さんである。だからおばさんはなぎさたちの取材を受けて、団子を食べる人が笑顔になることを願いながら作っていると答えたのだった。
その直後におばさんが店じまいを考えていると続けたのだった。体がきつくなった、お客さんが減った、子供が引退を勧めている。だからやめる。大和屋のおばさんは大和屋の世界における神であり、大和屋の全てを自分で決めることができるし、自分は大和屋の全てを生み出し、大勢のお客に笑顔を与えてきた…
と思っていたわけだ。しかしほのかが書いた記事を読み、大和屋の世界は自分だけが支えていたわけではないと考えた。自分がひたすら与えてきたと思っていたが、同時に与えられてもいたのだ、と。
(明日はほのかの立場から。つづく)