7 無印の成功と課題

縦の関係を描くこと、開かれた物語であることは同じ事を別の視点で捕らえていることだと思う。それらはマックスハートのお話全体の基本的な構図になっている。
無印の横の関係で内向きに閉じたお話は、これはこれで面白かった。というか、横の関係で内向きに閉じたお話だったからこそ、無印プリキュアはここまで受け入れられたのだと思う。
小さなお友だちたちにとって、横の関係はいつも自分たちがその中で生活をしている関係だ。上下関係などあまり無いし、年長者がどんな気持ちでどんな生活をしているかなど知らないだろうし興味も無いだろう。
大人たちにとっては、細かい感情表現に自分の子供時代を重ね、お話の最後に訪れる仲間同士の一体感は安心を感じただろう。キリヤや分身たちの悩みは、ピンポイントでやられた人も結構いるだろう。
でも一方で、ずっと内向きの話を突き詰めたことにより無印の後期後半はプリキュアたちの側で語るべきお話のネタが友情の再確認になっていた。なぎさとほのかが固く結ばれてしまっていたことで、光と闇とのお話では分身たちが主役の座についてしまった。

横から縦へ

無印が横の話で、だからマックスハートは縦の話にしよう。そういうことだったのではないかと思う。縦の話を作ろうとすれば、縦の関係にある人を出してこないといけない。年長者は家族、あかねさんがいて、年下は亮太に部活の下級生。これでずっと話を作るのは難しいので、新しい登場人物を造形する。
となると、なぎさとほのかの周りにどんどんと新しい世界が広がってゆくことになる。お話のレパートリーも、同世代の知り合いの間をぐるぐる巡る必要が無いので、ネタはたくさんある。
ということで、話が外に広がって楽しい話になっている。