6 世界に開こうとするマックスハート

無印のネタを利用して、マックスハートでどんなお話を追求しようとしたのか。というところで「世界に開こうとするマックスハート」につながる。
製作者の人たちがお話の内容を追求しようとした時、無印を振り返って

  • そもそもお話を企画するのが遅れた

というのがでてきただろうけれど、これはちゃんと準備時間があるマックスハートでは問題外だろう。

  • 運命、宿命という単語に引きずられ、闇の話が難しくなった
  • 最終決戦がジャアクキング様だけではあまり見栄えがしない
  • 内側に閉じてゆく話ばかりになった

ことは反省点のうち大きなものとして挙げられたのだろうと思う。

闇の側で物語を作らない

そのうち闇の話が難しくなったことについては、闇の側で物語を語ろうとするとかなり突っ込んで考えなければならないものではないかと思う。闇の存在としてのアイデンティティに疑問をもつのはキリヤの二番煎じとなる。ジャアクキング様に同化するのはゲキドラーゴ、プリキュアに敵意を持つのはピーサードポイズニーになってしまう。力を強調すればピーサードになり、子供対大人だとポイズニーだ。
というところで現在の闇の面々を見ると、

ということになっている。そして少年を除く闇の四人は仲が良いのか悪いのか、少年を気遣って野球の相手をしたり揃って玉突きをしたり、トムとジェリー仲良く喧嘩しな状態で結構のんびりと生活を送っている。彼らを追い立てるジャアクキング様は不在であり、特にアイデンティティに悩んでいるということもない。

光の側は縦の関係を描く

光の側のお話では、無印で中心的課題として描かれてきた横の関係はすっかりお蔵入りとなっている。その代わりに選ばれたのが、縦の関係である。

  • なぎさほのかと九条ひかり
  • クイーンと九条ひかり
  • 九条ひかりとポルン
  • あかねさんと九条ひかり
  • 美墨夫妻となぎさ
  • なぎさほのかと奈緒美羽
  • 部長ほのかと部員、キャプテンなぎさとチームメイト
  • 莉奈とぽん太の介
  • 梨農家となぎさほのかひかり
  • ポルンとルルン
  • 大和屋さんとなぎさほのか

と、こんな感じだ。

縦の関係は他者理解

無印で描かれたのは横の関係だった。横の関係は世代が同じで、ベローネ学園という同じ環境で生活していることもあり自分と他者は似たような生活をしている。しかし縦の関係はそうではない。親子のように同じ場所で生活していても立場や背景が全く異なっていたり、違う場所で違う立場と背景で育ってきたりである。
まあ横の関係でも他者理解ではある。しかしお話の筋立てとして、横の関係では細かい心情の揺れが強調されやすいというのと、結局同じだよねという一体感がお話の出口になりやすいと思う。そうすると、他者が自分とは違うのだが違うということを知ってなお他者を大切に思うというところへは着地しづらい。たとえば無印の京子夏子は、なぎさほのかとは横の関係でありながらなぎさほのかとは他者でありつづけた。しかし京子夏子は偽プリキュアであることをやめず、なぎさとほのかがため息をついてお話が終った。
それ以外の話では、横の関係は仲間であることを確認してめでたく終っている。