2 なぎさにおける日常と非日常の接続

なぎさにとって藤Pは永遠の偶像であるが、これまでと異なり今回は具体的になぎさへ言葉を贈ったのだった。なぎさがビブリスとの戦いで掴んだ「分からないことは分からないが、とにかく今を一生懸命生きる」という確信を裏付ける役割を藤Pが果たした。
藤Pによる裏づけは、なぎさにとって重要なことだ。なぎさにおいて、非日常で戦いを続ける理由と、日常で生活を続ける理由とが接続されるからだ。これまでは非日常は非日常、日常は日常として別の論理で動いていた。世界を守るためドツクゾーンと戦うというのが、プリキュアとして「このわたし」が非日常にとどまり続ける理由だった。なぎさとほのかの日常は何か目的のために生きているというわけではなく、どちらかというと今までの個人的な生活を守るというスタンスだった。
今回のビブリス戦でなぎさが掴んだのは「わたしの夢と希望を邪魔させない(から戦う)」という個人的な理由だった。そして戦いの後で藤Pがなぎさに語ったのは「今を一生懸命やっていれば、将来のことも見えてくると思っている」ということだった。藤Pのこの一言は、なぎさがビブリスとの戦いで掴んだ戦う理由と同じである。
藤Pの言葉を受け入れたことで、なぎさにとって日常を生きることと非日常を戦うことは同じ事の二つの形として捉えられるものとして自覚されたように思える。「わたしには未来があり、わたしの未来を信じて今を一生懸命生きる」ということの表現が、非日常では戦うことであり日常では毎日を精一杯がんばるということだ。