3 母の母の母の母としての光の力

ではさなえおばあちゃまが最後の母であるかというと、そうではない。さなえおばあちゃまもまた、その背後に導かれるべき母のイメージを持っている。
無印第28話「レギーネ登場!ってもう来ないで!」とMH第24話に描かれている、さなえおばあちゃまの回想に出てくる欅の坂のシーンだ。欅の坂のシーンで示唆されているのは、雪城さなえが進む道を見失いそうになるとき、彼女は常にあの欅の坂にやってくると言うことだ。欅の坂を訪れることは彼女にとって、絶対的な安心を与えてくれる父に背負われていた過去に立ち戻るということである。それだと父なのだが、欅の坂を訪れる時、さなえは常にミップル(このときは目覚めていないので正確に言えばミップルではない)を持っている。苦しいことを乗り越えれば報われる、という言葉は父のものだが、この言葉に命を与えるのはミップル… というかミップルに象徴される光の力である。
さなえおばあちゃまのところで継承されてきた母のイメージと言うのは、人がずっとずっと過去からいろいろなものを受け継いでいるということを表しているのだとおもう。「ふたりはプリキュア」では、その母のイメージはさなえからミップルを通じて光の力へと還元されている。