2 母の母の母としての雪城さなえ

小田島をはじめラクロス部員たち、クラスメイトなどにとって、なぎさは母のような存在として彼女たちをまとめ、受け入れている。しかしなぎさ本人にとって、母としての度量の大きさは彼女の一面でしかない。なぎさは一面だだっ子であり、だだっ子としてのなぎさを受け入れているのがほのかである。
ふたりはプリキュア」は、母の継承(もしくは母からの承認)の物語という側面を持っている。だからなぎさを承認する(もしくは母としてのなぎさにとっての母である)ほのかにも、ほのかを承認する母が存在する。それがさなえおばあちゃまである。
ほのかが危機に陥る時、常にさなえおばあちゃまはほのかの側にいる。無印第8話では、なぎさといっしょに居る時のほのかが生き生きしていることをほのかに気づかせた。自分の気持ちに気づくきっかけをほのかに与え、ほのかを導いているのがさなえおばあちゃまである(ここではほのかがなぎさのことをよく知らないため、なぎさの心を傷つけることになってしまった…)。
なぎさと仲たがいをして落ち込むほのかを救ったのも、さなえおばあちゃまだった。ていうかていうかていうか、さなえおばあちゃまは常にほのかが自分のほんとうの気持ちに気づくよう導いているのだが、無印第8話のAパート時点ではまだなぎさとほのかは絆を結んでいないため、ほのかが自分のほんとうの気持ちに気が付いたことが裏目に出てしまったということだ。
まあそれはそれとして、裏庭に向かい物思いに沈むほのかの側にいつのまにか現れ、自分のほんとうの気持ちに従いなさいと導いたのがさなえおばあちゃまだった。
無印第12話「悪の華ポイズニー参上!って誰?」で、非常に強いポイズニーに戦意を喪失しそうになっていたなぎさとほのかをみちびいたのは、さなえおばあちゃまが目を閉じたままつぶやいた一言だった。
無印第28話で、闇との戦いに対して弱音を吐くなぎさにとって、弱音を吐いている相手であるほのかは間違いなく母として認識されている。しかしほのかもなぎさと同じ中学生だから、そんな風に頼りにされてそれを受け止めることができない。そのときほのかの母として彼女たちの不安を受け止め、新たな決意へと導いたのがさなえおばあちゃまだった。
小さいが重要なところでは、無印第26話で闇との戦いを終えて虹の園にもどってきた二人に向かい「お疲れ様でした」とねぎらいの言葉(か何か良く分からない言葉)をかけているし、無印最終話でまた「お疲れ様。ふたりとも今まで良くがんばりましたね。これからもがんばるんですよ」と、どこまで知っているのか良く分からない言葉を贈っている。
というように、さなえおばあちゃまは母(なぎさ)の母(ほのか)の母として、常にふたりを見守り導く役割を果たしている。

祖母としての雪城さなえ

また、今回MH第25話では思い悩む九条ひかりにさなえおばあちゃまが直接語りかけた。このときのさなえおばあちゃまは、九条ひかりにとってのさなえおばあちゃまという側面と、なぎさとほのかにとってのさなえおばあちゃまという側面がある。そしてそれを総合すると、祖母という存在が原理的にどのような役割を果たしうるのかが見えてくる。ていうか(略)、祖母が果たしうる役割をMH第24話脚本の川崎良氏が物語にうまく取り込んでいるということが分かる。