クイーンではない九条ひかり〜MH第21話(1)

九条ひかりは誰にでも同じように丁寧語を使っていて、今回MH第21話でも同学年の大輝と話をするにも丁寧語で丁寧に話し掛けていたのだった。

MH第15話はひかりの空想

これまでひかりが丁寧語ではない関係を結んでいるのはポルンと奈緒美羽だけである。奈緒美羽が登場したMH第15話だった。この話数は川崎良氏脚本であり、なおかつひかりに初めて友達といえる存在ができたというとても重要な出来事…
のはずだ。しかし奈緒美羽はそれ以来出てこないし、九条ひかりは相変わらず丁寧語だけを使って生きている。もちろんポルンがいるのだが、ポルンはひかりにとって我が子であり特殊な存在である。
MH第15話はそれ自体特殊な位置にある。バザーという学校でも家族でもない場所で行われるハレの行事に、それ一度しか出てこない奈緒美羽と、超人的な活躍を見せたなぎさほのか。
あのMH第15話、実は一人ぼっちの教室で九条ひかりが逃避した幻影だったと考える事はできないだろうか。アバンタイトル奈緒美羽がひかりに目を止めるところから、ラストの登校風景までが全て教室にひとりでたたずむ九条ひかりの悲しき幻影だったと。

差別しない命、九条ひかり

幻影を見ているのはおまえだというような妄想である。しかし今回MH第21話を見ていると、そう考えてしまう。というのも九条ひかりが誰にでも丁寧語で接するという行動こそ、九条ひかり九条ひかりである特質を端的に表現しているのではないかと思うからだ。
(つづく)