1 ひとりの力、みんなの力

手をつなぐこと

放映開始直後に、とつぜんほのかがなぎさの手を握る。開始直後に本日のテーマをばっちり提示している。なぎさがチームのピンチに手をつなぐことの大切さを持ち出すことになるのだが、これをなぎさひとりの考えとして思いつくとしたら、それはちょっとなぎさの行動とはいえないだろう。導師であるほのかからその大切さを伝授される、という導入は正しい。
ただしなぎさはプリキュアとして、ずっとほのかと手をつないで戦ってきた。手をつなぐことの凄さについては、なぎさもちゃんと知っている。だからこそなぎさはあれほど自信を持って、手をつなぐことの意味をチームのみんなに語ることができるわけだ。

ラクロス部シーズン開幕

今回MH第11話の日常は、ラクロス部のシーズン初戦だった。三年生になって下級生を引っ張っていかなければならないと気負うメグミと、レギュラーになってちょっと生意気になった二年生のマキがそれぞれ相手の言葉の上っ面をとらえて反発しあう。まあよくある風景だ。
みんなが力を合わせられないうちは劣勢だったが、手をつないで心を合わせることができてからは大逆転へと状況が一変した。

二度救われるルミナス

ということで非日常は、なぎさ試合のピンチに「何もできなかった」と感じていた九条ひかりビブリスの襲来を受け、しかしなんとかなぎさの試合を邪魔されないようにひとりで戦おうとするというものだった。
ひかりが自分ひとりの力で戦っているうちは劣勢だったが、なぎさとほのかが到着すると(ルミナスひとりの状況から見れば)大逆転へと状況が一変したのだった。
手をつなぐということでは、なぎさとほのかはプリキュアへと変身するときに手をつなぐ。そして今回の戦闘では、鉄塔ザケンナーから放り出されるルミナスをブラックが抱きかかえて救出し、直後に電気ビームの射線に入ったルミナスの手をホワイトの手がしっかりと握りルミナスはまたもや救出された。
救出されるという描写だけならば、わざわざルミナスがこんな短い間隔で二度も救出される必要は無い。もちろんこれは、ルミナスがブラックとホワイトふたりと「手をつなぐ」という儀式である。だからどうしてもルミナスは二度救われなければならなかったのだ。
そして最後に今回のまとめとして、なぎさが九条ひかりを叱ったあと、しっかりと手を握った。これはアバンタイトルの繰り返しであり、お話は円を描いてきれいに終った。ただしほのかは九条ひかりの手を握っていない。手をつなぐことの大切さは、導師ほのか→戦士なぎさ→後継者ひかりへと一子相伝のように受け渡されているわけだ。

人の話を最後まで聞

これに対して、闇の魔人たちはあいかわらずそれぞれが好き勝手に動いている。ウラガノスは何にも考えていないようだし、ビブリスは自分ひとりでプリキュアたちを倒そうとしており、サーキュラスは分析している。
また今回第四の魔人が初めてその存在を示唆されたが、サーキュラスは第四の魔人がやってくる前にカタをつけたいと語っている。四人協力して戦おうというようなことは、これっぽっちも考えていないというわけだ。プリキュアたちにとって協力の象徴が手をつなぐことであり、魔人たちにとって独立独歩の象徴が人の話しを最後まで聞かないことだ。このへんの対照性描写はなかなかうまい。