1-2 職業としてのプリキュア

光の園ドツクゾーン虹の園も、始まりが無ければ終わりも無くただ現在のみが永遠に続いていく。すべてはぐるぐると繰り返す。過去に何度も現れこれからも何度も現れるだろう伝説の戦士プリキュアの一部として、なぎさとほのかは光の園の歴史に登場しそして消えていく。
これは一年目の無印「ふたりはプリキュア」の世界観を引き継いでいる。無印で描かれたのは、特別なヒーローになることを拒否した特別なヒーローの物語だった。この構図を「無限回のプリキュア登場」へと延長していくと、プリキュアでないことと比べるとプリキュアであるというのは特別だが、歴史上のプリキュアたちのひとりとして、なぎさとほのかがプリキュアであるという事実はごく普通のことだった、ということがいえるだろう。
いわば「職業としてのプリキュア」という世界観だ。このような世界ではこれまで出現したであろう歴代のプリキュアたちも、永遠に繰り返す光と闇との対立の中で、ある瞬間だけプリキュアとしてリクルートされ、役目が終ればまた元通りプリキュアではない生活へと戻ってゆく。
何度もいうがこれはこれでいままでのヒーローモノとはなかなか趣が異なっていて面白い。たとえば「最後の悪の親玉を最終的に滅ぼしました。世界は永遠に安泰です。ヒーローは唯一の伝説となりました」でもなければ「今回の悪の親玉は滅ぼしました。でも世界にはいつまでも新しい悪の親玉が生まれつづけるでしょう。この世に悪がある限り、ヒーローはこれからもずっと君たちのため、我々のために戦いつづけるでしょう」でもないのだ。
職業としてのプリキュアはこうなる。「今回の悪の親玉は滅ぼしました。でも光の園がある限り、ドツクゾーンもまたありつづけます。クイーンがある限り、ジャアクキング様もまたありつづけます。しかしプリキュアたちはもうプリキュアであることをやめました。次の戦いはきたるべき新たなるプリキュアたちにバトンタッチし、なぎさとほのかは光の園ともドツクゾーンとも別れを告げ、メポミポポルンやキリヤとも二度と会うことも無く、虹の園に住むただの人としてごく普通の日常を全うするでしょう」
これって、無印プリキュアを繰り返すということだ。ここではそもそも光と闇の対立が永遠の繰り返しなのだから、無印とマックスハートが繰り返しになるのは論理的に正しい。これはこれでいい決着のつけ方だ。
でも、また同じところに戻ってくるのはぶっちゃけ面白くない。
(明日に続く)