イルクーボ

謎のイルクーボすみません。背景でごまかしました。イルクーボは最後までよくわからなかった。彼は物語の中でかわいそうなキャラクタだった。お話の中のイルクーボは、体力一直線のゲキドラーゴの保護者としてジャアクキング様をとりなし、ゲキドラーゴに親切な助言を与えて物語を回す役割を担った。ポイズニーイルクーボの助言を彼女への侮辱とみなして反発し、怒りのエネルギーを増幅させてプリキュアたちとの最終決戦に臨むことができた。闇の宿命および消えていったポイズニーへの惜別とほのかとの狭間に苦悩するキリヤには何も声をかけず彼を優しく見守った。と同時にキリヤの最後をまっとうさせてやることで、キリヤの人生をキリヤの望みどおりに幕引きさせた。
イルクーボは有能な指揮官であった。だがそれ以上にはなれなかった。
山中での第一決戦ではいきなりいろいろと語り始め、番人を次元の狭間から引きずり出しプリズムストーンを七つとも手に入れたのだが、決戦に至るまでにそのような性格を与える描写がなかったために唐突の感を逃れることはできないだろうと思われる。このような敵側の人格描写の欠如は「ふたりはプリキュア」に顕著に見られる特徴だ。キリヤを除く4人は最終決戦でいきなり何かを語りだした。その内容も結構似たり寄ったりと言えるもので、彼らの性格付けがもともとあまり細部にまで及んでいないのではないかと思われる。
というのも最大最強最後の敵であるジャアクキング様とプリキュアたちとの決戦がなんだかよくわからない観念論になっていたことが挙げられる。とはいえそれはそれで筋が通っているように思うのだが、もっと動きがあるほうが小さなお友だちにとっては面白いだろう。「ふたりはプリキュア」が小さなお友だちをメインターゲットにしていることを考えると、ジャアクキング様との決戦はゲキドラーゴ消滅戦以上の動きがあるのが普通なのではないかと思う。
そういうことを考えると、おそらく怨念イルクーボとの戦闘が実は最終決戦だったとも考えることができる。ジャアクキング様の行動に意味があったのは、唯一イルクーボを消滅させたところだ。仲間というか部下であっても自らの意に沿わなければ消滅させてしまうほど「悪い」存在であるということを自ら証明したシーンだ。プリキュアたちはイルクーボの消滅をみてジャアクキング様を断罪する理由を得ることができた。イルクーボ消滅がなければ、ジャアクキング様はただ単に自らの世界に篭って観念的な終末論をぶつぶつとつぶやいている引きこもり青年でしかなかった。