キリヤ

夜空のキリヤ僕はこのシーンが心に残っている。5月30日に書いた第18話感想の第5章「加速〜第18話:5 闇の声」では、ドツクゾーンポイズニーをすべてキリヤという人格の闇の部分として描いてみた。
このシーンはキリヤがほのかと公園のベンチで人の心とキリヤ自身の心について会話を交わした後に、キリヤが夜の空にひとり浮かんで物を思わずにはいられなかった、というシーンだった。なぎさ試験勉強のドタバタシーンに挟まれ、何の音もない夜の闇に無言で浮かぶキリヤ。すると闇の中に気配が現れる。それはポイズニーの形をしていたものの、彼の中にひそむ過去という名の枷であるようでもあった。
ほのかという光を見てしまい、彼ははじめて生まれ育ってきた闇の世界以外にも世界があることを知った。と同時に、彼が信じてきたものが唯一のものではないということを知ってしまった。彼には心がないということを知ってしまった。心があるということがどういうことなのかを彼は理解し始めてしまった。だが同時に、彼がこれまで過ごしてきた闇の世界は彼にとって巨大すぎて、そこを離れることができないということも彼には分かっていた。彼の過去を象徴する闇の中で輝く満月に薄く照らされるキリヤ。月の光は確かにそこにあるものの、彼の過去を全て照らすほどには明るくなかった。彼の過去、闇とのつながりを象徴する姉、ポイズニーの登場を妨げるほどには明るくなかった。かれは薄暗い光を確かに感じながら、どこでもない空の上に浮かんで黙っているしかなかった。そして彼の闇は彼を迎えに来た。
第18話のキリヤについてはほぼプリ出張所のLet them precurizedにキリヤコーナーがあるのでよろしければそちらもどうぞ。あれから自称キリヤ担当として結構キリヤ文を書いてきたので、そろそろそれもまとめてみようかと思います。
ところでなぜ今ごろキリヤの絵を書いているのかもよくわからなくなってきたのだが、実は「[論考]Dual Vocal Wave!!から考える」id:dokoiko:20041021のイメージで闇の五人を描いてみる、というシリーズだったりする。適当に1枚背景レイヤーを入れてぼかしを入れてみたりしました。カテゴリ[拙作]をクリックしたりすると、ピーサード、ゲキドラーゴ、ポイズニーが出てきます。