原岡不動産さん

相変わらず「ダメなものはダメ!」と言い切る原岡流レビューです(id:gashige:20040616, ■原岡不動産の覚え書き程度な日記■)。原岡さんも書いているこのセリフ。

なぎさ「またしてもとんでもない奴が現れた。どんなに頑張って向かって行ってもちっとも歯が立たなかった。今度あいつが現れたら一体どうすればいいの? あいつを追っ払えたのもほとんど奇跡みたいなものだったし。ひょっとしてあたしたちプリキュアもパワーアップしてるってことなのかな?
(第20話「どっちが本物?ふたりのほのか」アバンタイトルのなぎさ回想)

まあなんというか、たまにこういうのがありますねプリキュアは。 第19話「こわすぎ!ドツクゾーン最後の切り札」でのイルクーボの闇の玉が割れたあとのPMSがそうでした。映像描写はまったく今までのPMSと変わらなかった。しかしメポが「すごいメポ! 虹の園の力が加わってものすごいパワーになってるメポ!」とパワーアップを言葉だけで説明してしまった。映像で描写すべきシーンなのだが、リソースを他のシーンで使用してしまったのだろう。もしくは何回かごとに訪れる息抜き放映回としか考えられないときもある。何人かの方が何度か指摘していることだが、「ふたりはプリキュア」はネタを膨らませるのが苦手というかエピソードをいくつか重複させる手法をとっている。パワーアップについて映像で見せたいのだがリソースを割り当てられなかったのかもしれない。またよく知らないのだけれど東映アニメには作画枚数に制限があるらしいので、パワーアップの描写よりも重要な描写を優先したのかもしれない。放映回によって描写密度の差が激しかったりするので、重要な回に作画リソースを取っておいたのかもしれない。
パワーアップについては、第20話のなぎさ回想からオープニングを挟んですぐ、ドツクゾーンのシーンでイルクーボが「しかし、奴らの力は強くなっている。簡単にはいかないぞ」とポイズニーに警戒を促しているシーンがある。敵側からもプリキュアたちのパワーアップを念押ししているわけで、「パワーアップしているかも」というなぎさの感覚がなぎさひとりの思い違いではないことが証明されている。まあとはいえイルクーボもそれを言葉で説明するだけだから、原岡さんが納得するとはいまいち思えないのだが。
とはいえ両者がプリキュアのパワーアップに言及するのは根拠がないかといえばそうでもなく、第19話でのイルクーボ登場と敗退を再確認しているわけだ。虹の園に登場しただけでポイズニーとキリヤが愕然とするほどの力を持つイルクーボ。とは言えイルクーボは冷静沈着で無口な知将として行動しており、彼の実力を映像で描写することは難しい。しかし彼が圧倒的な能力を持っているということを視聴者に印象付けなければならない。言葉で説明してしまうのは便利ではあるが危うい手法だ。まあしかし何の説明もされないよりはましだろう。毎話少しずつイルクーボがいかに強力であるかを描写することで、彼とプリキュアたちが対決する時には、我々視聴者は彼の能力をちゃんと受け入れることができるだろう。

でもそのあとどこへともなく逃げ出すなぎさタンはどうかと…
せめて本物のほのかタンを捜しに行くとか、「本物のほのかはどこ!?」とかニセモノに詰め寄ったりする
とかして彼女を心配して欲しかったよ。
(id:gashige:20040616)

圧倒的に時間が足りないわけですが、たとえば最初にポイズニーがなぎさに化けてほのかに近づくというシーンがあると良いかもしれない。その場合、ほのかはポイズニーなぎさが近づいてきた瞬間から行動パターンがおかしいことを察知して、理知的にポイズニーの変身を見破ったりする。そこに本物のなぎさが通りかかる。プリキュア戦になることを避けてその場は撤退するポイズニー。そして第20話で実際に描かれたなぎさとポイズニーほのかのシーンへと続く… という流れであれば、ほのかとなぎさの対比が描けるし、ほのかがなぎさをしっかりと理解しているという絆も描くことができる。

本物のほのかタンならもっと強く相手を否定するような口調じゃないと、ほのかタンっぽくないような
気がするのですが、そう感じるのはもしかしてオイラだけですかいのう?(´Д`;)
(id:gashige:20040616)

自分がもうひとり、しかも目の前にいるという情況に怯えないのはさすがほのかで、本物であることを冷静に証明しようとするところも理の人の面目躍如だ。そしてここでキーを握るのはなぎさであり、なぎさとほのかの絆の深さが問われているわけだ。ほのかとしてはなぎさに認められなければならない。目線はなぎさを向いているわけで、このあたりはピーサードやゲキドラーゴが最終戦でなぎさとほのかの絆やなぎさと亮太の絆を再確認させた場面を先取りしている。プリキュアのふたりは絆を強くすることでプリキュアとしての力を発揮する。なぎさがほのかを判別できたことが直後の対ポイズニー戦での勝利につながった。だからこのシーンではほのかはなぎさとの絆を確かめなければならない。
またほのかにとってなぎさは唯一の友人であり、なぎさに選ばれなければ友人を失うことになる。ほのかはポイズニーに関わっている場合ではなかったと考えられる。だから必死でなぎさに自分が本物であることをわかってもらう必要があった。