1 大人の位置

先代と比べ、S☆Sでは大人の位置付けが変わっている。先代はなぎさとほのかが孤立無援、ふたりきりで世界を背負った。二人がプリキュアであることは誰も知らなかった。それどころかメポミポ以外に光の園の住人が出てきたのは、石を預かるだけの番人以外に第25話で光の園へ行くまでひとりも出てこなかった。その後も番人は捕らえられ、MHではクイーンが分裂した。
ふたりきりというのは普段の生活でもそうなっていて、特に大人と子供との断絶がはっきりと描かれていた。出てくる先生たちはなぎさを一方的に叱ったり小ばかにする。教頭は中間管理職で校長はボケキャラだった。美墨家の夫妻はそれぞれの仕方でなぎさを愛しているが、それはなぎさが望むようではなくあくまでも夫妻から一方的に与えられるものである。大人は大人の世界を生きており、子供に対して絶対に歩み寄らなかった。あかねさん、農作業の夫妻、植田梨園のおじさんおばさん、水戸屋のおばさん。唯一さなえおばあちゃまはほのかをよく理解しているが、彼女はスターウォーズにおけるヨーダのごとき存在であり、プリキュアにおいて大人の範疇には入らないと思われる。
光と闇との対決についても、子供と大人との対決と読み替えることが可能であった。闇の側で子供の造形をしていたのはキリヤとあのお方だが、両者とも結局は闇の側を抜けることとなった。
という先代と比較して、いまのところS☆Sは大人と子供との間にそれほどの断絶が無い。篠原先生は生徒をすべて呼び捨てにするようだが、先代の先生たちとは異なり生徒を理解しようとしている。日向家の様子を見るに、美墨家とは異なり二人の子供を中心に回っているようである。