黒のソレ、白のアレ

Windowsパッチ70台の適用を気合で終わらせ、とぼとぼと歩いているとそこは電気屋さんだった。メールを読もうと思ったら、電話機が目の前に置かれた机の向こう側に落ちてしまった。するとめがねをかけた黒髪のお姉さんが現れた。おねえさんは両手をルミナスのように差し出した。右手には黒のソレ、左手には白のアレが載っていた。
「あなたが落としたのは、黒のAH-J3001Vですか。それとも白のWX300Kですか」
「…… 黒のソレです」
「まあ、あなたはなんて正直者なんでしょう。では両方差し上げましょう」
「わあ、そんな」
「遠慮することはありません。ちなみにあなたは年契なので特別価格で電話番号を白のほうに移しておきます」
「…… は、はい」
「では多少することがあるので1時間後に受け取りにきてくださいね」
ぼくは1時間時間をつぶして戻ってきた。
「それでは両方差し上げましょう。はい」
「ありがとうございます」
「ひとつだけちょっと」
「なんでしょうか」
「電話帳移行ソフトウェアがついています。でもAH-J3001Vは古すぎて対応していません。手動で全部移してくださいね」
「……」

そして4時間後

なんとかしてくれ。