猫の描写〜リアルな世界と幼児化する人物造形

望ちゃんの家のネコがやたらリアルだったのが印象的でした。「ふたりはプリキュアマックスハート ビジュアルファンブック」によると、ほのかの愛犬忠太郎も、西尾大介監督が「喋りそうな犬にはするな」と指示してデザインされたそうなんで、実際の生き物についてはそれらしく区別して描かれてるんでしょうね(でも忠太郎は一回喋ったんですけど……)。
(ぷらとーさん、http://sakusaku.sakuratan.com/の2005年10月30日より)

忠太郎、無印第22話のモコ、MH第12話のベルちゃん、MH第20話のぽん太の介、MH第21話のロドリゲス、今回MH第36話のミミなど、プリキュアに登場する動物たちは明らかに動物である。人間の世界に属していない。唯一例外は無印第6話のクマちゃんだ。クマちゃんの造形はしっかりと動物だったのだが、動作はちょっと動物ではないところが見られた。というかそもそもクマと触れ合うことができると思わせる脚本、演出はダメだろ。
というのはともかく、今回出てきた猫のミミは凄かった。ほんとにただの猫だからなあ。これは例えば「おねがいマイメロディ」に出てくる野良猫のみーちゃんと比較すると良く分かる(しかしそもそも野良猫のみーちゃんが良く分からないかもしれない)。みーちゃんもたいがい猫なのだが、しかしやっぱり基本的に動物として描かれていない。人語を解するような動きをしているわけだ。それに比べてミミは造形に加え、動作鳴き声まさに猫。
プリキュアが始まったころ、僕には造形のリアルさが新鮮に思われた。なぎさやほのか、さなえおばあちゃまなどの人物はもとより、学園の靴箱、電車、なぎさとほのかの部屋、風景の一つ一つができるだけデフォルメを避けてリアルに描かれているように感じた。
マックスハートになってさらに想定視聴者層が低年齢になったようで、洋館の少年に九条ひかりハーティエルたちにポルンにルルン、大輝や望など、人物造形はかなり幼くなっている。なっているのだが、その他造形は相変わらずリアルである。特に世界はリアルなままだ。だから登場人物たちの幼児化が進んでいるマックスハートでは、人物たちの幼さと世界のリアルさが一段と対照的になっているように思う。